2020 Fiscal Year Research-status Report
トルコ語ならびにアルタイ型言語における通音声学研究
Project/Area Number |
20K00581
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00407644)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | トルコ語 / トルコ諸語 / 音節構造 / 2子音連結 |
Outline of Annual Research Achievements |
トルコ語における例外アクセント(下がり目あり)については、音節構造と密接な関係がある。トルコ諸語における基本的な音節構造は、V, CV, VC, CVC, VCC, CVCCの6種である。音節末の子音連続については、アルタイ諸語の中で比べると、モンゴル諸語やツングース諸語においては、トルコ諸語に比べて少ない。また、トルコ諸語における子音連続の制約に対する一般性や個別性は、これまで論じられていない。こういった現状をふまえて、トルコ諸語全般の音韻論的音節の概要を捉えるために、無作為に抽出したテキストにおける音節の件数を計測した。 対象は、トルコ諸語に属する 12 言語(トルコ語、アゼルバイジャン語、ガガウズ語、トルクメン語、チュヴァシ語、タタール語、カザフ語、キルギス語、ウズベク語、ウイグル語、トゥバ語、サハ語)とし、それぞれ約 5,000 語の文章を、分野は特定せず、無作為に抜き出した。本研究で分かる範囲での、トルコ諸語の音節に対する共通性は、以下の通りである。 ・音節構造については、トルコ諸語間でそれぞれの言語と音節構造には関連性がない。従って、若干の差はあれども、トルコ諸語間では概ね共通しているものと解釈できる。 ・音節末の2子音連結については、流音 r, l+t, k, s、鼻音 n+ t, k, s, d, cセディーユが連結しやすい傾向にある。摩擦音 s は t と連結しやすく、k, s は件数が少ない。接近音 y についても同様の傾向である。また、r 終わりでは br やtr の件数が多い。 ・音節頭の2子音連結については、無声破裂音 p, k, t+流音 r, l(tl 除く)が子音連結しやすい傾向にある。摩擦音 s, şは t, kと連結しやすい。また、流音が後続する子音連結は、先述したものに加えて gr, fr, vl, dr, sl, xr といったように多種である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコ諸語全般における音節構造の特徴を析出したことによって、その類似性を確認することができた。トルコ語のアクセント規則が他言語でも適用できるかどうかを確認する前提は整いつつあると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
トルコ語の音節構造における個別的特徴をさらに精査し、アクセントとの関連をより具体的に明示できるよう準備しつつある。
|
Causes of Carryover |
分析器材がWinのバージョンアップによって、買い替えをしなければならなくなったため。
|