2021 Fiscal Year Research-status Report
トルコ語ならびにアルタイ型言語における通音声学研究
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20K00581
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発話速度 / ポーズ / ニュース / 日本語 / トルコ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルタイ型言語における通音声学研究の一環として、ニュースを読んでいるアナウンサーの発話速度とポーズについての日ト対照研究を行なった。日本語については、過去の資料と比べて経年変化も捉えられた。結果は以下の通りである。(1)日本語のニュースにおいて、2006年に比べて2020年では1分あたりの情報量が減っている。(2)日本語のニュースの発話速度においては経年変化があるが、1960~70年代は約400モーラ毎分、1980~90年代は約500モーラ毎分であったが、2006年は453モーラ毎分といったように経年的に早口にはならないという結果が示され、2020年にいたっては382モーラ毎分といったように、2006年よりさらに遅くなり、1960~70年代の発話速度に戻ったことが確認できた。(3)日本語のニュースにおけるポーズの割合は、2006年に比べて2020年では長くなっていることが確認できた。(4)日本語とのニュースとトルコ語のニュースでは、音節カウントでは1分あたりの情報量は変わらない。しかし、日本語のニュースの方が、ポーズの回数や割合が多い。その結果、物理量としての発話速度は、日本語が418音節毎分、トルコ語が331音節毎分といったように、日本語の方が速くなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分節音や高さ以外の研究が進展していないトルコ語学の現状で、プロソディの中で発話速度やポーズについて示すことができた。この結果によって、発話速度やポーズがイントネーションにどのように影響を及ぼしているかを検討するための基礎資料ができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
トルコ語のアクセントとイントネーションが、従来言われてきた説明ではまだ不十分な点をふまえ、アクセントの実現は高くなるではなく、下がり目が重要であるということを示すための音声分析を行なっていく。語学教材のように分かりやすくゆっくり目に喋っている時には、高くなるということを意識している可能性はあるが、日常会話においては必ずしもそうではない点について、例外アクセントの音調の分析を進める予定である。具体的には、現在形接辞-iyorのアクセントが、必ずしも実現するわけではないという点について分析を進めている。また、文フォーカスが文全体のイントネーションを支配した結果、例外アクセントは相対的に残るものの、基本アクセントは消えやすいということも調査中である。 また、音節構造の精査については、データ整理中であるため、終わり次第公開する予定である。
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Causes of Carryover |
Windowsのバージョンアップに伴う器材の更新の際に、国内に器材がなかったため、年度内に取り寄せが間に合わなかった点と、印刷物に関して計画が1年延びたため。 これらについては、2022年度に解消できる。
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