2022 Fiscal Year Research-status Report
トルコ語ならびにアルタイ型言語における通音声学研究
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20K00581
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数字のアクセント / 複合語アクセント / 日本語大阪方言 / トルコ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルタイ型言語のアクセント研究の一環として、高さアクセントとして部分的に類似したアクセント体系を持つトルコ語と日本語大阪方言のアクセントについての研究を行なった。今年度は、大阪方言における数字を発音する際、1桁から8桁までの非負整数としての0を含んだ自然数のアクセントにどのような規則があるのかについて分析した。1~10、10~90、100~900、1,000~9,000、10,000~90,000、100,000~900,000、1,000,000~9,000,000、10,000,000~90,000,000における単独形を示したうえで、端数が付いた場合の規則性を示した。いくつか例示しておく。11~19の単独形は、10は単独形では低起式であるが、一の位が加わると高起式平板型であるH0になる。ただし、13と15は例外で、高起式頭高型のH1になる。同じく単独形が低起式である30については、そのままの型を保ち、後ろに一の位がついてもL2のままである。21~29、41~49、91~99のように単独形が高起式頭高型H1のものについては、十の位の単独形のアクセントは変わらず、後ろに一の位を付け加えるだけになる。ただし、51~59については、11~19の規則が適用される。一方で、同じ高起式でも単独形がH2である60、70、80の場合は、H0になるため、11~19の規則が適用される。 トルコ語には高起式はなく低起式になるので、式に関する対立はない。ただし、複合語規則において、端数が付いた数字における下がり目の指定がどのようになっているかを導き出すために、より複雑な体系を扱っておいた方が考えやすいので、この分析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコ語のアクセントについては、これまで強さアクセントとしてストレスがどのように移動するかという分析が主流であったが、音声学的ストレスの実態がなく、高低変化の位置で捉えた方が適切な分析となるため、高さアクセントによる分析が必要である。 複合語アクセントについては、長くなってくると、アクセント境界によって下がり目を指定する位置が変わることがある。その分析を行なうために、より複雑な仕組みである大阪方言の数字のアクセント分析を行なった。これは同じ日本語でも東京方言では対照の対象にならない点からも、重要な分析となる。より複雑な体系の概要が明らかになったため、部分的に一致したトルコ語のアクセントが分析しやすくなったから、進捗状況は良好だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
トルコ語の例外アクセントの全容を明らかにするために、その規則性ならびに規則はそうであるが話している実態がどうなっているかを調査する必要がある。数字のアクセントによる複合規則の解明は、そのためには欠かせない分析となる。また、トルコ諸語オグズ語群という同じくくりであっても、トルクメン語の数字のアクセントについては、トルコ語と異なり下がり目の位置指定がないことを観察している。この違いは、日本語における式音調を持つ京阪アクセントと、それが単純化したN系アクセントとの違いに類似するものである。両者が同一祖語にたどりつく可能性はかなり低いが、系統が異なる言語で類似したアクセントの特徴をもっているということを示していくのが、今後の課題となる。 また、接辞がもつ例外アクセントについても、規則と発話実態が異なるものがあることが若干ながら観察できている。この点も、順に解き明かしていくことが課題となる。
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Causes of Carryover |
次年度に解析装置の更新を行なうため。
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Research Products
(4 results)