2021 Fiscal Year Research-status Report
The Groundwork for Icelandic Diachronic Accentology from Philological and Field Linguistic Viewpoints
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20K00594
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
三村 竜之 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00647662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アイスランド語 / アクセント史 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、中世以降のアイスランド語の文献資料と現代アイスランド語のアクセント資料の両方を精査することで、アイスランド語におけるストレス(強さ・強弱)アクセントの史的変遷の有無とその実態を探るものである。従って、アイスランド国内でのフィールドワークは本研究課題の遂行において必須事項であるが、2020年度と同様、2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、現地でのフィールドワークを実施することはできなかった。幸い、中世の文献資料を電子アーカイブ化したオンラインデータベースへのアクセスや利用は従前通り可能であったため、2021年度も文献資料の収集・分析作業が中心的な研究活動となった。また、文献資料に基づく研究作業に並行して、これまでに採取していた現代アイスランド語のアクセント資料の再分析を行い、今後のフィールドワークにおいて採取すべき調査項目の洗い出しや、フィールドワークの手法の改善等々の検討作業も進めた。現在、アイスランド本国での新型コロナウイルス感染症の状況は安定しており、マスク着用や行動制限等の規制も緩やかとなっているため、2022年度は、上半期に現地でのフィールドワークを計画している(2022年5月時点; 今後の新型コロナウイルス感染症の状況次第では予定の変更あり)。 2021年度の研究成果は、下記の口頭発表2件並びに論文1本の形で公にした:・口頭発表: デンマーク語stoed研究の諸問題: 通時論と共時論の両側面から最善の音韻解釈を探る(2021年6月4日, 国立国語研究所プロジェクト共同研究第7回オンライン研究発表会), アクセント研究諸概念管見(2022年3月28日, 北海道言語研究会第22回研究例会);・論文: ノルウェー語南東部方言のアクセントの再検討: アクセント論の視点から(2022年3月, 単著,『北海道言語文化研究』20, pp.61-89)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に「研究実績の概要」の箇所で言及した通り、本研究課題の遂行に必須の事項であるアイスランド国内でのフィールドワークが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施することができなかった。2021年度、2022年度に採取・分析を予定していた現代アイスランド語のアクセント資料が採取できていないという点においては、進捗状況の評価は「(3)やや遅れている」となるかもしれない。しかし、その一方で、本来ならば現地調査に充てるはずであった時間を日本国内において利用することが可能となり、オンラインデータベース/アーカイブ上に所蔵されている資料に限定はされるものの、インターネットを通じて文献資料の採取・閲覧を進めることができた。また、現地調査に充てる予定であった助成金を、文献資料の分析作業に必要となる種々の論文や研究書籍等の資料の入手に充てることが可能となり、文献資料の研究という面ではむしろ順調に進めることができたと思われる。また、本来ならば現地調査に充てるべきであった時間が日本国内での研究作業に当てられることとなり、副産物的な結果ではあるものの、フィールドワークの方法論の再検討等の(実践ではなく)理論的な考察作業を進めることが可能となった。以上の点から、総合的に判断して、現状としては本研究課題は「おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
何よりもまず、2022年度はアイスランド国内でのフィールドワークの実施が本研究課題の遂行の上で最優先事項として挙げられる。現在(2022年5月時点)ではアイスランド国内並びに経由地である北欧周辺諸国に於いての新型コロナウイルス感染症の状況は安定しているため、2021年度上半期のフィールドワークの実施を具体的に計画しており、調査協力者(インフォーマント; インタビュー協力者)との調整作業や、関連機関との連絡を進めている最中である。現代アイスランド語のアクセント資料の採取と並行して、現地での文献資料の閲覧・収集も進める予定である。既に「研究実績の概要」や「現在までの進捗状況」の箇所で触れたように、文献資料に関してはインターネットを通じて思いの外、収集並びに分析を進めることができたものの、アイスランド本国に赴かなければ閲覧の困難な資料や文献も存在するため、現地での資料収集活動は是非とも実施したい。新型コロナウイルス感染症の今後の状況次第ではあるが、2022年度下半期もフィールドワークを行い、当初の予定通り、現代語と文献資料の補充・分析作業を進め、アイスランド語におけるストレスアクセントの変遷の実態を捉えたい。また、その研究成果を、論文や研究発表、さらには公開講座等の形で広く一般の方々にも享受可能な形で、公にしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本来ならば、アイスランド国内での研究調査のための渡航費用等々で助成金を全額使い切ることが予想されるのだが、新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査を実施することができなかった。文献資料の分析作業等々に助成金を利用はしたものの、次年度使用額が発生してしまったのはこのような事情による。2022年度はアイスランド国内でのフィールドワークの実施を計画しているため、発生した次年度使用額は、調査協力者(インフォーマント/インタビュー協力者)への謝金の一部として使用することを考えている。
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Research Products
(3 results)