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2020 Fiscal Year Research-status Report

アスペクトとヴォイスの「好まれる言い回し」の認知類型論的研究: 音声言語を中心に

Research Project

Project/Area Number 20K00595
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

副島 健作  東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60347135)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsアスペクト・ヴォイス / 好まれる言い回し / 認知類型論 / 音声言語 / 言語の「自然さ」,「~語らしさ」
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,言語の「自然さ」,「~語らしさ」ということはどういうことかについて理論化し,説明を試みるものである。すなわち,客観世界に対する事態認識の言語化とその傾向が言語によって異なる現象について考察し,構文間の連関と対立の関係に反映される話者の事態認知上のカテゴリー化の動機づけを明らかにする。具体的には,人為的行為の結果状態を表す現象を対象とし,諸言語がどのような構文を用いるのが自然かを,ビデオ発話実験という手法により母語話者から収集した音声資料をもとに検証する。音声言語における構文のあり方について意味と機能と構造の面から有機的・相関的に特徴づけて検証し,明らかにすることで,認知類型論の発展に資するとともに,その成果を外国語教育の現場へと還元することを目的とする。
次の方法により「音声言語」におけるアスペクト・ヴォイスの現象を精査し,言語の「自然さ」の理論化に貢献する。まず,日・露・韓・土・エストニア語の様々な構文の用例を,母語話者インフォーマントへの実験から収集し,使用実態を記述する。比較のため,英語や中国語も調査対象とする。次に,すべての収集例をデータベース化したのち,同じ事象に対する言語間の描写のし方の違いや概念的な連続性を「意味地図」としてまとめ,検討する。それから,アンケートないしインタビューによる母語話者への使用意識調査を行ってデータを収集し,同一事象の描写の差異が言語間による事態の捉え方の違いに由来するか検討する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2020年度は以下の手順で研究を進める予定であった。1) 母語話者への聞きとりと実験用映像の作成: 各言語の母語話者数名を対象に,設定した状況を分かりやすく提示し,母語でどのように表現するかの聞き取り調査を実施する。その成果をもとに,実験で用いる映像を作成する。映像完成後は母語話者に小規模の実験を行い,適切に回答がもらえるよう改良していく。2) 理論的枠組みや言語現象の包括的整理: 文献資料をもとに,人為的事態の結果の状態を表す各構文に関する記述的データの収集作業を進める。ロシア語,韓国語,エストニア語,トルコ語の記述文法書,個別言語あるいは複数言語の各構文,更に事象構造の言語類型に関する文献を利用する。
このうち,コロナ禍により対面での聞き取りが難しくなったため,2)の理論的枠組みや言語現象の包括的整理を中心に進めた。1)についてはまずは実験用映像の試作から始めることとし,いくつか試作を終え,映像作成を継続中である。

Strategy for Future Research Activity

まずは前年度に引き続き,母語話者への聞きとりと実験用映像を作成し,完成させる。それ以降は,各言語ごとに以下の手順で調査・分析を進める予定である。1) 母語話者への実験の実施: ビデオ発話実験により,ある場面においてどのような表現を用いるかデータを収集する。本調査は,日本語母語話者 (仙台在住の大学生)と,ロシア語,韓国語,エストニア語,トルコ語の母語話者各3-5名ずつを対象に行う。英語と中国語も同様の実験を行う。2) 調査結果の分析・記述: 収集した用例を分析し,その表現形態と意味的特徴,多機能的拡張のありかたや言語間の描写の違いなどについて詳しく分析し,各言語の特徴をまとめる。それと同時に,アスペクトとヴォイスを統合的にとらえた「意味地図」にまとめ,普遍的な拡張の方向を明示する。3) 母語話者への使用意識調査: 収集したデータの内,日本語との間で表現のズレが顕著であった場面においてどのような 表現を用いたらいいかを,各言語の母語話者にアンケート調査する。その結果を元に同一事象の描写の差異と言語間による事態の捉え方の違いとの関係について検証する。2021年度は前半はロシア語,後半韓国語,2022年度は前半はエストニア語,後半はトルコ語の調査を主に行う。

Causes of Carryover

本研究では,ロシア語,韓国語,エストニア語,トルコ語それぞれにたいして,1) 日本語と比較のために英語と中国語も含め た全7言語の母語話者3-5名ずつ(計21-35)への実験による用例収集, 2) 収集したデータのデータベース化, 3) ロシア語,韓国語 ,エストニア語,トルコ語の母語話者30名ずつ(計120名)の使用意識調査, を行う予定である。
1に関しては,実験用映像作成の補助と,実験対象者21-35名への謝礼が必要となる。2に関してはデータベース化の作業の費用が必要である。また,収集した音声言語(1言語あたり約60分)の書き起こしを業務委託する。3に関しては,アンケートの調査票作成のための諸経費,母語話者120名への謝礼と,ロシア語,エストニア語,トルコ語母語話者への調査に赴くための渡航費用が必要である。1と3の調査では,対象者に気持ちよく協力してもらい,より妥当性の高い結果が得られるよう,商品券を謝礼として提供する。
2020年度は,コロナ禍によりに予定していた実験用映像作成のための打ち合わせや,予備実験ができなかったため,人件費・謝金,その他(予備実験対象者数名への謝礼)を使用することはなかったが,これらは2021年度に実施する予定であり,翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] Japanese Language Learners Understand ’the Other’ in the Result Expressions?2020

    • Author(s)
      Soejima, Kensaku
    • Journal Title

      The Values of the Other, GPJS (Tohoku University)/LITT&ARTS and ILCEA4 (Grenoble Alpes University)

      Volume: 1 Pages: 149-167

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 日本語学習者に地方共通語を教える必要はあるか?2020

    • Author(s)
      副島 健作
    • Journal Title

      国際文化研究科論集

      Volume: 28 Pages: 43-52

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-12-27  

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