2022 Fiscal Year Research-status Report
A phonological study of the loss of long vowels in standard Korean
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20K00598
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊藤 智ゆき 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20361735)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 韓国朝鮮語 / 長母音 / 中期朝鮮語 / 朝鮮漢字音 / 歴史言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、標準韓国語の長母音分布に見られる特徴について明らかにすることを目的に、特に中期朝鮮語データの拡充している朝鮮漢字音のアクセントが、現代朝鮮語諸方言においてどのような対応を示すか、5方言(ソウル方言(韓国語標準語)・全羅道方言・慶尚南道方言・慶尚北道方言・延辺朝鮮語)を対象に考察を行った。諸方言における朝鮮漢字音アクセントの実態を統一的に観察するため、ソウル方言における母音の長短に対応する、「中期朝鮮語のR(上昇調)- L(低調)・H(高調)」という対立に注目し、各漢字音が長母音(=中期朝鮮語R)相当であるか否かについて分類した。この分類に基づき、各方言における朝鮮漢字音アクセント(R対L・H)の比率と保存率、方言間の一致率について検討した上で、対応パターンの詳細について検討した。それにより、(1)延辺朝鮮語を除く4方言において、短母音で現れる漢字音の方が長母音で現れるものより多いこと、(2)原則として中期朝鮮語H・L>短母音、中期朝鮮語R>長母音の対応が確認されること、(3)方言間の一致率においては、中期朝鮮語において語頭にRをもつものに対応するアクセント系列が、現代方言においても明確に独立した系列として維持されているかどうかが大きく関与していること、(4)現代語5方言すべてが中期朝鮮語の「単漢字」と一致するパターンを示す場合が多いものの、中期朝鮮語の単漢字とは異なるパターンが、諸方言に一貫して現れるケースも相当数見られること、(5)ソウル方言において例外的に長母音が見られる場合、他のいずれかの方言にも同様の例外パターンが観察されること、について明らかにした。また、現代語方言における朝鮮漢字音の母音長に関し、モデル化を行った。 一方、延辺朝鮮語・咸鏡道方言の資料収集・整理も進めた。咸鏡道方言データについては、子音・母音の音響音声学的特徴について分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現代語5方言を対象に、韓国朝鮮語語彙の70%を占める漢字語について、各漢字が長母音(=中期朝鮮語R)相当であるか否か分類し、その傾向を分析する一方、変化についてのモデル化を行った。それにより、各方言における長母音の分布と通時変化の方向性を一定程度明らかにすることができた。また昨年度に引き続き、標準韓国語長母音の消失過程を推定する上で重要な参考資料となり得る、延辺朝鮮語・咸鏡道方言の資料収集・整理作業も行い、咸鏡道方言の子音・母音(母音長も含む)について基礎的な音響音声学的分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、標準韓国語における長母音分布と消失過程に関連する資料の拡充を図る他、ソウル方言の発話コーパス等に基づき、母音長の変遷やバリエーションについて検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍のため、学会出席、調査・研究打ち合わせ等のための旅費を使用する機会がなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。次年度は、インフォーマント調査謝金、データ分析に必要なハードウェア、ソフトウェア購入費、学界参加のための旅費等に助成金を用いる予定である。
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Research Products
(3 results)