2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the prosodic influence on the semantic interpretation
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20K00601
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 さとみ お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60347127)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語学 / 意味論 / プロソディ / 中国語 / 副詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、対比を表す副詞“可”の意味についての前年度のまとめをもとに、音声特徴を抽出して考察した。2021年度には、3名の母語話者が同じ語気を持つと判断される27個の“可”の例文を確定したが、2022年度には、中国語母語話者12名に文脈を含めて読み上げさせ、その音声を採取した。音声を採取した後、それぞれの“可”の意味について、①叙述内容が事実であることを表す、②意外性を表す、③程度が高いことを表す、④望みがやっとかなうことを表す、⑤切実な言い含めや希望を表す、⑥疑問を表す、⑦反駁を表す、⑧その文が先行文と対立することを表す、の8つのうちどれを表すと思うかについて調査も行った。その結果、④を表す“可”は他の“可”よりも音声持続時間が長いことが分かった。従来、③と④が強勢を伴うと言われてきたが、一方しか強勢を伴わないことに対して、③に分類された例文を精査すると、形容詞を直接修飾するものと、形容詞との間に別の程度副詞“真”やコピュラ/強調の助動詞“是”を伴っているものに分けられ、“可”の音声持続時間は、前者のみが有意に持続時間が長いことが分かった。従って、母語話者は③と考えるが、実際は①~②、⑤~⑧と同じく強勢を持たずに発音される群があると言える。さらに、“可”の意味論は、verum focus、つまり、命題の真理値が焦点にあることを示すと考え、これらの選定した例文を使って、実際に文脈を含めた検証を行い、“可”は、文脈に当該命題の否定があることを示す働きをすると結論付けた。
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Research Products
(6 results)