2022 Fiscal Year Research-status Report
Linguistic characterization of Turkish immigrants in Germany through foreigner talk
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20K00612
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
林 徹 放送大学, 東京文京学習センター, 特任教授 (20173015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フォーリナー・トーク / 移民 / トルコ語 / ドイツ語 / 言語接触 / 言語の簡略化 / リンガフランカ |
Outline of Annual Research Achievements |
【ドイツ語話者を対象としたアンケート調査の実施】ドイツ語のフォーリナー・トークについて、令和3年度に準備したリモートでのアンケート調査を実施した。実施に当たっては、ベルリン・ノイキョルン地区にある語学学校(Sprach- und Integrationsschule)において移民・難民向けの統合コース(Integrationskurs)を担当するギュロル・アクタシュ氏とペーター・ハイン氏の協力を得ることができたが、十分な回答が集まらなかった。そこで、同学校以外の関係者にも依頼したが、やはり分析に十分な数の回答を集めることができなかった。 【統合コースの受講者と講師のやり取りに関するデータの収集】新型コロナウイルス感染症により、調査対象とした学校関係者とのコンタクトが十分でないまま、リモートでのアンケート調査を実施した結果、十分な数の回答が集まらなかったと考えられることから、新型コロナウイルス感染症に関係する渡航制限の解除を受けて、2022年12月にベルリンに赴き、Sprach- und Integrationsschuleにてインタビュー調査を実施した。現役の受講者とのインタビューを希望したが、学校関係者との協議の結果、統合コース受講者を対象とした調査はコースを統括する連邦移民難民局の許可が必要なこと、受講中の調査は研修への影響が懸念されることから、これまでに同学校で統合コースを修了した元受講者とのインタビューに切り替えた。同学校の現役の講師であるギュロル・アクタシュ氏がインタビューアーとなって、5名の元受講者とのインタビューを実施した。 【サンプル数の少ないアンケート回答を活用する方法の検討(継続)】リモートで実施した上記のアンケート調査では十分な数の回答が集まらなかったが、そのような回答からもある程度意味のある結果を引き出すための分析方法の検討を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による渡航制限により、現地において調査が実施できなかっただけでなく、現地関係者とコンタクトが限定されていたため、アンケート等による調査実施のための十分な準備を行うことができなかった。リモートでの調査のノウハウが十分でなかったことが主な原因である。 また、新型コロナウイルス感染症に加え、ウクライナでの戦争により多数の難民がドイツに入国したことで、研究に協力してもらっている語学学校も、教育体制を再編するなど、令和3年度から4年度にかけて、緊急の対応を余儀なくされた。このため、研究協力を要請しづらい状況となった。 さらに、ドイツ全国で実施される統合コース修了試験を請け負う試験実施業者が変更となり、令和4年度を通じ研究協力者の協力が得られにくい状況が続いた。
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Strategy for Future Research Activity |
【現地調査の実施】ドイツにおいて海外からの入国にほぼ制限がなくなったことを受けて、これまで行ったきたアンケート調査に加えて、令和5年度は、ベルリンにおいて、特に統合コース修了者を対象としたインタビュー調査を実施する。また、現地調査だけでは十分なデータが集まらない可能性があることから、リモートによるインタビュー調査も試みる予定である。 【移民を送り出す地域における多言語使用状況の調査】アフガニスタン、シリア、ウクライナからの難民を除けば、近年はバルカン地域からドイツに移民としてやってくる人々が増加している。特に、バルカン地域で少数派であるトルコ系住民の占める割合が高く、これらトルコ系の人々は、それぞれの国の主要な言語(ブルガリア語、セルビア語、アルバニア語など)とトルコ語の多言語使用者である。ドイツ移住前の多言語状況について調査し、それをドイツ移住後の多言語状況と比較することにより、言語が異なっていても、移住前にすでに多言語状況を経験していることが、移住後の新たな多言語状況への適応を容易にする可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限があったため、リモートでのアンケート調査など、遠隔で調査活動を実施することを試みたが、リモート調査の経験が少なく、期待したようには成果をあげることができなかった。また、ウクライナでの戦争により、多くのウクライナ難民がドイツに入国し統合コースを受講することとなった。このため、統合コースを実施する学校やコースを担当する講師の協力が得られにくい状況が続いた。幸い、渡航制限が解除され、ウクライナからの難民受け入れも落ち着いてきたため、令和5年度は現地調査を実施し、当初予定したデータの収集に努める。ただし、今後もドイツでの調査には一定の困難が予想されることから、移民・難民の移住先であるドイツだけでなく、移民を送り出している地域でも調査を行うよう、研究計画を一部変更し、移民コミュニティの言語的特徴を、より多角的に検討する。
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