2020 Fiscal Year Research-status Report
結束性とテクスト構成に関する日仏対照研究:裸名詞と総称文を中心に
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20K00621
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高垣 由美 関西学院大学, 文学部, 教授 (60253126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新情報 / 旧情報 / 視点の方向 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初期段階の成果は、研究代表者髙垣および2名の研究協力者により、複数の国内外の学会で公表された。 研究代表者及び研究協力者2名は、当初フランス国モンペリエ大学で開催の第7回フランス語学世界大会での口頭発表を予定していた。しかし新型コロナウィルス感染拡大のため、この大会そのものが対面では開催されないことが決定された。オンラインでの実施も、基調講演だけに限られたため、審査の上採択された口頭発表を、3名のいずれも行うことができなくなった。しかし、予定された発表に基づくそれぞれの論文は、審査の上、大会論文集に掲載された。このことは、本研究の初期段階の成果が、国際的な舞台で認知されたということを示す。特に研究代表者はこの論文で、本研究課題のうちの1つである裸名詞に関して、それが使われる典型的な構文2つ(裸名詞で始まる名詞文と提示文il y a)に関して、その生起環境を明らかにし、いくつかのパターンを同定することに成功した。 これ以外にも、研究協力者1名の在職するロワール地域圏言語研究所が所蔵する、話し言葉コーパスESLOを使って、別の研究協力者1名がフランス語の因果関係の表現の語順に関して、日本フランス語フランス文学会2020年度秋季大会で口頭発表を行った。著名な国内学会で成果発表を行ったことで、本研究の初期段階の成果の一端を国内で知らしめることに役立った。またこのフランスのコーパスの利用によって、国際的な研究交流が促進された。 なお、新型コロナウィルス感染拡大のために、当初予定していた様々な国内外の研究集会への参加ができなくなったが、オンラインで代替開催されたものには可能な限り参加した。例えば研究代表者は、合計12の研究集会に参加することで、最先端の研究成果に触れ、オンラインの限られた範囲とはいえ研究交流を行って、本研究を深めるきっかけを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)調査開始の遅れ:令和二年度中に予定していた、日本語母語話者のフランス語学習者を対象としたインタビュー調査が実施できなかった。その主な理由は、研究代表者の本務校の「人を対象とする行動学系研究倫理審査委員会」の審査の承認に時間を要し、年度内に調査を開始することができなかったためである。 2) 出張の中止:フランス国モンペリエ大学で開催予定のフランス語学世界大会での口頭発表が、新型コロナ感染拡大のため中止となったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)令和二年度中に実施を予定していた、日本語母語話者のフランス語学習者を対象としたインタビュー調査は、令和二年度末に研究代表者の本務校の「人を対象とする行動学系研究倫理審査委員会」の審査に通り、実施が承認された。よって、令和三年度の冒頭に調査を開始できるため、前年度の遅れは早急にとりもどせる見込みである。また、この調査をもとにした学習者コーパスの構築も、令和三年度中にほぼ完成する予定である。 2)令和三年度に国際シンポジウムの開催を予定していたが、新型コロナ感染拡大のため、国内外の発表者の招聘の見通しが全く立たない。よってこの国際シンポジウムは、開催そのものを諦めざるをえないと考えている。それに代わる国際的研究交流の方策を模索中である。 3) 新型コロナ感染拡大のため、予定していた国内外の出張は、令和三年度は予定通りには実施できない可能性が高い。代わりにオンラインで国内外の研究集会に最大限参加することで、最先端の研究成果に触れ、研究交流を行う。
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Causes of Carryover |
1) 新型コロナウィルス感染拡大のため、予定していたフランスへの出張、および国内の出張が全くできなかったため、旅費が発生しなかった。新型コロナウィルスの感染が収束すれば、研究交流と成果発表のための旅費として使用する。 2) 日本語母語話者のフランス語学習者を対象としたインタビュー調査に関して、研究代表者の本務校で「人を対象とする行動学系研究倫理審査委員会」の審査を受けた。委員会の承認が出るのを待っていたために、令和二年度内に調査を開始することができなかった。結果として被験者への謝金支出が発生しなかった。令和二年度末にこの審査に通ったので、インタビュー調査は令和三年度初めから実施し、謝金として使用する。
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Research Products
(10 results)