2020 Fiscal Year Research-status Report
A Research on "Point of View" in Modern Japanese - in terms of contrastive linguistics between English and Japanese-
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20K00631
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大島 資生 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (30213705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視点 / 文法 / 文章論 / 対照研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際の日本語の文章から視点を表現する項目(受身、授受動詞、「(~て)いく」「(~て)くる」、テンス、話法、~と(接続助詞)、~ている(アスペクト))が用いられている箇所を抽出、当該箇所で「視点」が「切り替わっている」と解釈できると判断された用例をデータとして考察を行なった。具体的には、以下の作品から例文を抽出した。 (1)小川洋子「博士の愛した数式」 (2)ジェイ・ルービン(編)『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29』(新潮社)/英語版 Jay Rubin(ed.) The Penguin Book of Japanese Short Stories Penguin (3)川端康成「掌の小説」 (1)(2)については、対照研究のために、該当箇所の英訳も抽出し、データベース化を行なった。 入力した用例をもとに各表現項目自体の特性の考察を開始した。並行して項目間の相違点を洗い出すため、各項目が出現する文脈の違い(各項目が用いられる文脈・場面の特徴)の検討も進めた。 表現項目自体についての考察と同時に、日英語の対照研究をおこなうための検討項目の洗い出しと整理を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は川端康成「掌の小説」についても、対訳データベース化まで進める予定だったが、作業に手間取り、原文からの例文抽出に終わった。ただし、次年度のうちに回復可能な遅延と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語において、視点を表現する形式は様々なものが挙げられる。本研究では特にテンスによって表現される視点のありかたについて検討したい。テンス表現における「視点」が、ほかの従来から「視点」表現として扱われてきている諸形式(受身、授受など)と同じレベルで検討することが可能か否か、同じレベルでの検討が困難な場合、母語話者としての「視点」という意識をどう説明するのかといった問題が生じるだろう。場合によっては「視点」という概念自体の再考が求められるのかということも含めて検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
例文抽出に手間取り、予定していた入力作業に取りかかることができなかったため。
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Research Products
(3 results)