2020 Fiscal Year Research-status Report
Contrasting Japanese Loanwords in Brazil, Hawaii and the Former South-Seas Colonies
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20K00632
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
Daniel Long 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 旧南洋庁 / 言語接触 / 借用語 / 意味変化 / ハワイ英語 / 外行語 / ヤップ語 / 太平洋諸語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍によって直接現地に出向いて調査を行なうことができなかったが、いくつの方法で情報を収集することができた。一つはヤップの現地協力者を通じてヤップ語母語話者から日本語起源借用語(JOL)を使った例文を作ってもらうことができた。意味変化が見られる単語を中心に例文とグロス(逐語訳)、英語と日本語による意訳をつけてもらった。例えば、日本語の「配給」に由来するヤップ語のhaaykyuuは「行政による分配」というよりも、以下のように個人がに「分かち合う」という意味で使うことが多い。 ヤップ語 Gu ma haaykyuu naag ea buw ni faqan raa ba yoqor. グロス I pres.habit. ration do betel if many 意訳 ビンロウの実がたくさんある時には、他の人に分けてあげます。 これ以外にインターネット上で宗教団体エホバの証人が公開している多言語資料のデータベースにヤップ語が含まれていることが分かって活用することができた。『聖書』だけではなく現代生活と宗教に関する記事が載っているから近代語彙は含まれている。大学院生教育と絡ませて、授業の一環としてこのヤップ語資料からJOLの使用例を採集する作業を行なった。その結果bakking(罰金)、sensey(先生),taiya(タイヤ)、tebkro(手袋)、bayking(黴菌)、bokngo(防空壕)などが自然なコンテキストの中で使われている例文とその日本語訳は収集できた。 2020年度にこの課題と直接関係する研究論文を刊行することができた。8月に権威ある日本語学会の学会誌『日本語の研究』の16巻2号152-167頁に今村圭介(現在国立海洋大学海洋政策文化学部准教授)と連名で「ヤップ語における日本語起源借用語の特徴」という論文を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は世界的にコロナ禍によって飛行機による国家間移動が事実上不可能となったので、現地調査ができなかったが、新たなデータ収集法を模索しながら研究を進めることができた。新たに見つけたJOLの単語もあるが、新しい意味合いを発見することや、コンテキストの中でJOLを使っている例文を作ってもらう(作成)こともできたし、既存の文書から自然な使用例を拾うこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は複数の地域の現地協力者との研究協力関係を整えて、コロナ禍によって現地調査ができなくてもデータ収集を続けることができるような研究環境づくりに努めている。この研究成果の一部を反映した学術図書『アジア・太平洋における日本語の過去と現在』を現在研究仲間と一緒に準備している。
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Causes of Carryover |
世界中のコロナ禍によって予定していた現地調査(海外出張)が実施できなかったため2020年度に研究費を予定通り使うことができなかった。今年度は現地調査を行なう予定である。
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Research Products
(3 results)