2021 Fiscal Year Research-status Report
Contrasting Japanese Loanwords in Brazil, Hawaii and the Former South-Seas Colonies
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20K00632
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
Daniel Long 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 旧南洋庁 / 言語接触 / 借用語辞典 / 意味変化 / ハワイ英語 / 外行語 / パラオ語 / 太平洋諸語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、太平洋諸語における日本起源借用語(JOL)の逆引き辞典(日本語の起源語からパラオ語、ヤップ語、チューク語などを引く)の編集を進めた。コロナ禍のために現地調査はできなかったが、様々な方法によってJOLが含まれている使用例を集める作業を進めている。一つは、オンラインで利用できる新聞データ・ベースである。ハワイ英語やブラジルポルトガル語の場合、150年前からのものの文字検索ができるので、歴史社会学的コンテキストの中でJOLの使用を分析することが可能である。また、太平洋地域における布教活動に力を入れている宗教団体エホバの証人が太平洋諸言語に資料を訳して公開している。これは聖書そのものだけではなく、現代生活の悩みなどに関するエッセイ集も含まれているので、20世紀に日本語から太平洋諸言語に借用されった「電話、電気、飛行機、野球」のようにJOLも各言語で使用されている。こうした例文を採集して、逆引き辞典の辞書編纂ソフトに入力している。このようにJOLの逆引き辞典は(データ採集法の調整をしながらも)着々と進んでいる。 2022年度にこのJOL研究の成果の一部を公開することができた。研究仲間の今村圭介と共編で出した『アジア・太平洋における日本語の過去と現在』(ひつじ書房2021年10月刊行)の中に「マリアナにおける残存日本語」や「アンガウル島で発生した『準ピジン』」、「南洋における日本語借用語の意味変化」といった章を書くと共に、比較対照の資料となる研究仲間が執筆した章も依頼して編集している。これらの中では台湾や旧満洲、朝鮮半島におけるJOLの使用や意味変化、音韻変化、表記などについて分析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は申請当初、フィールドワーク(現地調査)を中心に進める予定であったので、長引くコロナ禍により、研究方法を、辞書作成中心にするように調整を余儀なくされています。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も現地調査が困難であれば、現地にいる研究協力者に依頼してJOL使用例採集をしてもらう予定である。また、パラオ共和国にある日本大使館が作成した「パラオ語で使われる日本語」の動画がインターネット上で公開されている。こうしたものは研究資料としても利用できるし、作成するによって諸外国語の若者の日本語に対する関心を高める効果もある。このように研究成果を教育に応用すると同時に、一般国民(日本や太平洋地域諸国)への啓蒙活動も重要だと考えている。そのため、在パラオ日本国大使館が作成した動画に見習って、ヤップ語版やポナペ語版などの作成を現地の研究協力者と共に作成することを検討しています。 一方、現在米国の学術図書出版社と契約して、英語による日本語起源借用語の研究書を作る準備に入っている。
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Causes of Carryover |
本研究は申請当時、海外におけるフィールドワークを中心に進める予定であったが、長引くコロナ禍のために、2022年も外国での現地調査を行なうことができず、予算の繰り越しを行なうことになりました。
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Research Products
(5 results)