2020 Fiscal Year Research-status Report
Constructing a dynamic model of encyclopedic knowledge: A corpus-based approach
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20K00667
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
木山 直毅 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (20803894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 良方 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (70450690)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多義性 / コーパス / トピックモデル / Biterm topic model |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,複数の意味を持つ語 (多義) の意味分類をする上で,語が用いられるトピックが重要な役割を果たすという仮説を実証的に示すことを目的としている。例えば英語の複数形名詞streamsの例を考えてみたい。 (1) Now we have contaminated groundwater in some farming areas, and streams and estuaries that are becoming oxygen-deficient ... (2) We’ve got twice the fun this week with two upcoming album streams! これらの例において, (1) は「川」の意味で (2) はデータストリーミングの意味であることがわかる。人が各文を見た時, (1) が環境汚染に関するトピックであり, (2)は音楽配信に関するトピックであることが即座に理解することができ,そのトピックに基づいたstreamsの意味解釈を行っていると考えられる。 この仮説をもとに,Kiyama and Shibuya (2020; to appear),木山 (to appear) では,Yan et al. (2013) が提案したbiterm topic model (BTM) という手法の有用性を論じた。BTMは文書が何について書かれているのかを判別するトピックモデルの手法の1つで,BTMは特にニュースの見出しなど短い文書のトピック判別に有益である。この手法を用いることで,streamsには (i) 川, (ii) データストリーミング (iii) 金銭の流れの3つの意味があるだろうということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究発表1本の発表と論文2本の執筆を行った点では,比較的順調に進んでいると言える。しかし,これらはすべて国内の成果報告にとどまっており,予定していた国際誌への投稿ができなかった点でやや遅れていると言える。 国際誌に投稿することができていない理由としては,2020年度は新型コロナウィルス感染症拡大に伴い,代表者と分担者の勤務校が全面遠隔授業へと切り替わったことで,授業準備や採点といった業務にかかる時間が,平時に比べ圧倒的に増えたからと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,2020年度に投稿する予定であった国際誌に投稿するため,もう少しケーススタディを進めていきたい。そしてそのケーススタディを行いつつ,国際誌への投稿準備を進めたい。 その上で,今年度は以下の項目について調査し,発表することを目標としたい。 (i) すべての語の意味がトピックに敏感であるとは言えない。そこで,トピックの影響を受けるやすい語と受けにくい語の差を調査していく。現時点で品詞による差があるように思われ,名詞などはトピックに敏感である一方で,抽象度の高い動詞はトピックの影響を受けにくいと考えられる。この点を文法化などの知見を活かして考察する。 (ii) 意味の時系列変化に関して調査する。現在使用しているコーパスの時系列情報を利用することで,通時的なトピック変化へと応用することが可能である。そこでトピックの変化が意味変化にどのような影響を及ぼすのかという関係を調査していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大に伴い,予定していた研究打ち合わせ学会出張がすべてオンラインへと変更された。それにより旅費負担がなくなったことで次年度へと繰り越しになった。
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