2021 Fiscal Year Research-status Report
Constructing a dynamic model of encyclopedic knowledge: A corpus-based approach
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20K00667
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
木山 直毅 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (20803894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 良方 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (70450690)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多義性 / コーパス / トピックモデル / 社会的要因 / テクストジャンル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,2020年度に引き続き,語の意味はトピックの影響を受けるのかを調査した。2020年度は英語の名詞に焦点を当て,2021年度は英語の動詞で調査を行った。 英語の動詞runは,様々な意味がある。例えば辞書には30個の意味,先行研究では50個の意味が記述されている。本研究では,語が使用される際,どのような話題 (すなわちトピック) でrunが使用されるのかによって語の意味が決まるのという仮説に基づいて調査を行った。すると,スポーツのトピックでは「走る」の意味が,犯罪関連のトピックでは「逃げる」の意味,地理的な概念を表すトピックでは「山が走る」のような抽象的移動 (Fictive motion) の意味,エネルギー関連のトピックでは「機械を動かす」の意味のように一定の相関関係があることが明らかになった。 また,トピックモデルと別な手法を組み合わせることによって,無数の意味を機械的に分類することにも成功した。語の意味を分類するにあたって,「どの程度意味が違えば別の意味として認定するか」というのが常に問題になる。本研究では,その分類の粒度を統計手法によって問題を解決し,「移動概念」と「複雑なものを作用させる」の2つの意味に大別し,そこから詳細の意味を分けることができた。 また,先行研究では「走る」の意味が最も典型的であるとされていたが,本研究ではその指摘を支持する結果となった。先行研究の典型性は,文法的制約や出現頻度を根拠としているが,本研究では出現するトピックの幅広さという別な観点から支持することができた。 以上を踏まえ,2022年度は (1) 社会的要因と語の意味変化, (2) テクストジャンルと使用される語意味の2つに焦点を当てて調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
通常業務に加え,緊急事態宣言発令に伴い実施された遠隔授業の準備や教員退職に伴い分担することとなった業務などで,代表者と研究分担者とで研究打ち合わせを十分に行うことができず,進捗がやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,21年度にやり残した調査を継続し,論文として投稿したい。その後, (1) 社会的要因と意味変化と (2) テクストジャンルと意味の変異について調査を行う。特に前者については,学会発表ではなく国際誌へ挑戦し,年度内の採択を目指したい。後者については,本研究が立脚する認知言語学において近年注目を集めている社会認知言語学理論への貢献を模索し,学会発表を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究課題を開始した2020年度より,新型コロナウィルス感染予防対策として多くの学会がオンラインでの開催となった。また,同様の理由により代表者と分担者との間での研究打ち合わせもオンラインで実施することとなり,一切の旅費がかからなくなった。結果的に経費の大幅節約となった。そこで,海外の研究者との研究や交流を実施することで,22年度の研究進展に活用したい。
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