2022 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing a dynamic model of encyclopedic knowledge: A corpus-based approach
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20K00667
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
木山 直毅 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (20803894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 良方 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (70450690)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多義性 / トピックモデル / コーパス / テキストジャンル / 社会的関心 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の調査では,英語の動詞 run の意味は,トピックの影響を受けていることを論じた。2022年度は,その調査を踏まえ,(1) 意味変異とジャンルの間に見られる関係をトピックの観点から調査し,(2) 意味変異と社会的関心の関係の2つの点を調査した。 まず,(1)では,動詞 run が用いられる意味は,ニュースとフィクションとで異なっていることを明らかにした。例えば,フィクションに特徴的な表現としては, run my finger across letterや,run a hand down her backのような,「身体部位を動かす」といった意味が見られた。一方で,両方のデータで観察された同一の意味であっても,用いられ方が異なっているものもあった。たとえば,「人の高速移動」を意味するとき,ニュースでは目的語に出場競技(e.g. run a marathon)や走った距離(e.g. run a mile)といったトピックが目立ったのに対して,フィクションデータでは,経路を表す表現(e.g. run down the stairs)が目立った。このことから,言語研究におけるジャンル間の意味変異研究の重要性を論じた。 社会の中で意味を考えるという,認知言語学における社会的転回を支持する結果であった。 次に,(2)では,トピックモデルの手法が,社会的な関心事を調査する上で有効であることを論じた。具体的には,英語の動詞 run が持つ「選挙に出馬する」という意味の使用頻度が,2016年11月8日に実施された米国大統領選挙の前後で,どのように変化したのかを調査した。結果としては,議会選挙に関するトピックや,トランプ氏の支持・期待に関するトピックに関しては,11月に向けて使用頻度が上がった一方で,政策に関するトピックは,2016年9月以降に頻度が下がったことがわかった。この結果を踏まえ,語の意味の使用と社会的な関心との間には,不可分な関係があることを論じた。
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