2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K00669
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菅野 悟 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 准教授 (80583476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語学 / 統語論 / 生成文法 / vP構造 / ラベル付け / 素性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々な構文におけるvP内の構造をラベル付け(labeling)の観点から解明することである。この目的を達成するため、本研究が採用する仮定は、(i) φ素性を構成する人称素性(person-feature)と数素性(number-feature)のそれぞれがラベル決定に参加することができ、また、(ii)統語派生は長距離の素性継承(feature inheritance)を許すという2点である。この仮定をすることにより、<person, person>や<number, number>のラベル付けが可能となる。このようなラベル付けの可能性を追求し、研究成果として諸構文のvP内のラベル付けに、より深い説明を提示することを目的とする。 この研究指針の下で研究が進められており、ECM構文に関する研究として、「ラベル理論における主要部の(不)可視性と移動の随意性」というタイトルの下日本英文学会東北支部第77回大会において発表され、研究報告書が出版されている。この研究では、長距離の素性継承が可能であるという補助仮説の下、上述の方向での研究成果が示されている。 さらに、上述の指針が、寄生空所構文に対する研究へも拡張されている。この構文では、先行研究において、vP内の素性が重要な働きをすることが論じられている。この構文を分析することにより、詳細なvP内の構造の解明を試みている。 また、目的語が動詞に先行する語順を持つ構文に対する研究を進めている。これらの研究成果は、日本英語学会、日本英語英文学会、ELSJ International Spring Forumなどで発表がされている。これらの構文では、φ素性の継承方法により構文的特徴がとらえられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にデータの収集にあたり、つつもある一定の成果を上げることができた。その後、2年目の研究においても、ほぼ想定されている研究を行うことができた。しかし、その後のコロナ禍の影響があり、若干の研究上の遅れが生じた時期が存在していたが、その後、発表や論文の執筆を行うことにより、遅れを取り戻すことができ、結果として、ほぼ予定通りの目標を達成できることが見込まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度においては、論文の執筆が学会での発表を行うことのにより、成果報告を積極的に行うことを予定している。 特に重要な点としては、提案されるvPの構造が構文特定的ではなく、様々な構文へ適応できる可能性を追求することと考えている。そのため、最終年度として想定される研究成果の中には、理論と実際のデータのバランスを考慮することを心がけることとする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において予定されていた学会が中止になり、また、資料収集、データ収集ができなくなったため。
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