2021 Fiscal Year Research-status Report
HPSGによる英語における名詞と数詞の形態・統語的関係
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20K00672
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
前川 貴史 龍谷大学, 社会学部, 教授 (50461687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 名詞句 / 数詞 / HPSG / 統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語において数詞と名詞とが結合する Three students take/*takes part in a TV politics debate tonightのような構造に焦点を当てる。この例が示すような、(i) 複数の数詞は複数形の名詞を修飾すること、そして(ii) 複数形の主語名詞句は動詞と複数で一致することは、いかなる言語理論においても捉えられるべき基本的な事実である。しかし(1)の斜体部のそれぞれの名詞句は、上例とは異なる振る舞いを見せる。 (1) a. a ten foot long cord b.Five pounds is/*are a lot of money. まず(1a)ではtenという数詞がfootという単数形名詞を修飾している。(1b)はfive poundsという複数形の主語名詞句が動詞と単数で一致している。これらのようにfootやpoundなどの度量名詞を含む数詞+名詞構造は特殊な振る舞いを示す。さらに数詞を含む名詞句は、次のように限定詞の選択に関しても影響を及ぼす。 (2) those/that three weeks この名詞句の主要部weeksは複数形であるが、単数形のthatをとることも可能である。このように数詞+名詞構造は、限定詞との統語的・形態的関係についても特殊な現象を見せる。 以上の事実から以下のような問いが生じる。(I) 数詞と名詞の間の形態・統語的関係はどのように規定されるべきか。(II) 主語として機能する数詞+名詞構造と動詞との形態・統語的関係はどのように規定されるべきか。(III) 上記 (2) のような特殊な構造にどのような理論的説明を与えるか。本研究は、以上の3つの観点からHead-driven Phrase Structure Grammar の枠組みで分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19 により、科研費による前課題の進行が遅れたため、それにともなって本研究課題の開始も大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
英語の名詞・限定詞・数詞を中心とした統語論・形態論関係の先行文献やHPSG理論の最新の文献の調査、広範囲からのデータの収集を行い、他の研究者や、申請者の元の指導教授との意見交換を経て、International Conference on HPSGや日本言語学会等における口頭発表や学術雑誌への論文の発表などによって成果を発表するという方法で研究を実行する。British National CorpusやThe Corpus of Contemporary American English などの大規模コーパスを利用するなど効率よくデータを収集し、国際学会・専門学会で口頭発表し、内外の研究者と意見交換することによって研究内容を深めるなどの工夫がある。また、本研究の枠組みであるHPSG理論と他の言語理論とを比較することによって、HPSGへの理解をさらに深める。
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Causes of Carryover |
Covid-19 による前研究課題の遅れに伴い、本研究課題の進行が遅れているために次年度使用額が発生した。 図書やコンピューターの購入を行い、また、海外出張がスムーズになればそのための費用として使用する。
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