2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00677
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
土橋 善仁 中京大学, 国際学部, 教授 (50374781)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統語音韻インターフェイス / 第3要因 / 最小探査 / 語順 / 主要部パラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、音韻部門における統語対象物(Syntactic Objects: SO)の解釈に焦点をあて、第3要因(third factor)の原理である最小探査 (Minimal Search)や ゼロ探査(Zero Search)が音韻句やイントネーション句の形成に関与していることを示すことを目的とする。また、外在化(Externaliza tion)の過程には線形化 が不可欠であるとされるが、線形化には3種類あり、これらが適用される基本単位が韻律領域(韻律語、音韻句、イン トネーション句)に対応していることを示 し、韻律領域形成を線形化に還元することを試みる。さらに本研究の提案では、一致(agreement) の強さが音韻句形成に影響を与えるという予測をするが、その妥当性を経験的に検証を目指す。 当該年度は、これまでに刊行された統語論、意味論、音韻論、統語音韻インターフェイス、形態論に関する文献を外在化の観点から慎重に精査した。特に、語順の言語間の差異を説明する従来のアプローチに代わる新たな提案をし、その帰結を検討し始めた。具体的には、本研究の先導概念である第3要因の原理にもとづき線形順序の基本単位となる要素を統語対象物内で特定し、それらが外在化の過程で音声/音韻部門で規定される隣接性にもとづき線形化されるメカニズムを提案した。そして、言語間の語順の相違が、第3要因の原理にもとづき特定された要素同士が隣接するかしないか、という点でとらえるというメカニズムを提案した。これらの提案の妥当性を、近年の語順に関する研究(特にFinal-over-final condition(句内末尾要素に課される条件))に照らし合わせて検討し始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
言語間の語順の差異を説明する新たなアプローチを提案することができ、この提案の理論的・経験的妥当性を検証する段階まで研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに提案した語順の言語間の差異を説明するメカニズムを理論的・経験的に検証し、このメカニズムの文法システム全体の中の位置付けを明確にすることを目指す。
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Causes of Carryover |
感染症拡大に伴い、予定していた出張(学会、勉強会、研究打ち合わせ)がすべてキャンセルとなったため。翌年度は、図書等の資料の購入、新たな研究用機材の購入、可能であれば学会、勉強会、研究打ち合わせのための出張を予定している。
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