2020 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Syntactic Study of Noun Phrase Structure and Agreement Phenomena
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20K00679
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越智 正男 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (50324835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 名詞句 / 一致現象 / tough構文 / 否定極性表現 / 最小化詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナの影響で研究計画に若干の修正が必要になったことを明記しておく。以下が本年度の研究実績の概要である。 1. 研究代表者は数年前より日本語の最小化詞 (minimizer) の統語分析に取り組んでいるが、本年度はその意味解釈(特に焦点化)に関する研究を遂行した。これは予てより行っていた類別詞の統語分析に基づくものである。Huang and Ochi (2014)及びOchi (2016)で展開していた類別詞の統語分析とNakanishi (2019)による焦点化の分析を組み合わせることで「1+類別詞」を伴う3種類の最小化表現の解釈の差違を自然な形で導き出せるという趣旨の分析を構築した。本研究課題にとって特に重要なのは、日本語が名詞焦点化句(Nominal Focus Phrase)内での一致現象を示すという点である。現在この内容をまとめているところである。 2. 海外研究協力者の一人であるBrian Agbayani博士と統語派生における形式素性の役割に着目した共同研究に着手した。これは素性分割操作が内的併合(移動)のみならず外的併合(語彙挿入)においても適用されるとの仮説を探求するものである。本年度は英語におけるtough構文を分析の主な対象とした。この分析によれば、(i) tough構文の主語になる名詞項の形式素性群が音韻素性や意味素性といった他の素性群から分割される、(ii)形式素性群は補文節の目的語位置へ、そして残りの素性群は主節主語位置に挿入される、(iii)語彙的緊密性(lexical Integrity)の条件を満たすために、形式素性群が補文節から主節のT主要部へ移動する、という派生を辿る。この分析により、tough構文に関してPostal (1974, 1993)等の先行研究で指摘されているいくつかの特質が自然な形で導き出されるという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題には3名の海外研究協力者がおり、当初の予定では本年度の後半のサバティカル休暇の期間に海外出張を複数回実施し、これらの研究者と集中的に共同作業を行う予定であった。しかし、コロナの影響で大幅な修正を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの影響は次年度以降も続くと思われるため、上述の研究者3名とはオンラインでの会合などを行う予定である。また国内外の感染症の状況が改善していけば、今年度行う予定であった国外での調査を開始し、名詞句内外の一致現象に関する比較対照研究を軌道に乗せたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題には3名の海外研究協力者がおり、当初は本年度の後半のサバティカル期間中に米国及び韓国を一定期間訪問し、集中的に研究の方針や内容に関する協議を行う予定にしていたが、コロナの影響で海外出張の計画を全て中止せざるを得なかったことが大きい。今年度中にコロナを巡る状況が改善すれば、海外出張を徐々に再開して行きたい。
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Research Products
(3 results)