2021 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Syntactic Study of Noun Phrase Structure and Agreement Phenomena
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20K00679
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越智 正男 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (50324835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 類別詞 / 一致 / 名詞句 / 遊離数量詞 / 属格主語 / 量化表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は以下の通りである。 1.申請者はこれまでの研究 (Huang and Ochi 2014等)において、日本語の前置型類別詞表現と後置型類別詞表現が異なる基底構造を持つとの仮説を提唱してきた。この提案によれば、前置型類別詞が最初に数詞と併合し、その併合の産物に名詞が併合する一方で、後置型類別詞はまず名詞と併合し、その併合産物と数詞が併合する。今年度は、日本語に2種類の類別詞が存在するという於保 (2021)の提案を採用した上で、Saito (2018)による弱主要部の仮説を援用した分析に着手した。この分析では、類別詞が弱主要部の場合には前置型類別詞表現が生成され、類別詞が強主要部の場合は後置型として具現化される。また、後置型類別詞構文の名詞句部分の移動(Watanabe 2006 NLLT; Huang and Ochi 2014) はラベル付け問題の回避のために駆動されることになる。 2. 海外研究協力者のBrian Agbayani氏と寄生空所化構文を調査し、wh名詞項の外的併合の際にその素性群が分割され、2つの項位置に併合されるという趣旨の分析を構築した。現在投稿論文の審査中である。 3. Ross (1967)に見られる、一見不定関係節のように見える構文(例:John has getting into college to consider:以下「have X to Y」構文)に関してBrian Agbayani氏と調査を行い、この構文とtough構文との間の共通性を多数発見した。その上でRossの知見に基づき、X要素がto補文節から主節の「目的語位置」へ移動するとの分析を構築した。 4. 日本語の名詞句内の連体節におけるガ・ノ交替現象に関して、Chomsky (2007)による素性継承のメカニズムを採用した分析を緻密化し、その成果を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に、コロナの影響が大きかったことは否めない。本研究課題には3名の海外研究協力者がいるが、予定していた海外出張が再度延期になった。Zoom等の手段で連絡を取り合ってはいるが、計画の大幅な修正を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、日本語の「数詞+類別詞」表現の統語構造に関してラベリング理論の観点から分析を進める方向性が見えてきた。次年度は以下の3つの点に着目して研究を行う。 1. 今年度の研究によれば、(上述の通り)日本語の類別詞には弱主要部の場合と強主要部の場合があり、両者がそれぞれ前置型類別詞と後置型類別詞として具現化されていることになる。この点を踏まえて名詞句内の他の量化表現の調査を続ける。特に、後置型の量化表現(例:本すべて)と異なり前置型の量化表現(例:すべての本)の場合には主名詞の「複数」解釈が強要される(Watanabe 2017 Glosa)という数の一致現象について入念に調査する。 2.上述の於保 (2021)を含めて多くの先行研究では、日本語や中国語の名詞の語彙情報には数の指定が無い(number neutral)との見方が提示されてきた。しかし、これに対する反論(上述のWatanabe 2017等)も見られる。次年度の研究では、この点も踏まえつつ、類別詞言語における名詞の(不)可算性の問題(Chierchia 1998, Cheng and Sybesma 1999、等)に取り組み、提言をまとめたい。 3. 今年度の研究によれば、名詞句内の量化表現に付随する「の」(例:3冊の本)は統語構造上には存在せず、音韻部門において挿入されるリンカー的な要素ということになる。その一方で、本研究課題のガ・ノ交替の研究によれば、属格主語等の名詞項に付随する「の」(例:昨日太郎の歩いた道)は「一致」と呼ばれる統語操作により付与される格の値であり、統語派生において重要な役割を示す。これらの点を踏まえて、助詞の「の」の文法機能についてさらなる検証を行う。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で予定していた外国出張等が再び延期になった影響が大きい。次年度の研究計画においてはコロナの状況が改善することを見込んで複数回の海外出張を組み込んでおり、海外協力研究者との共同研究を加速させる予定である。
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Research Products
(3 results)