2020 Fiscal Year Research-status Report
1つの言語、2つの語法―イギリス英語とアメリカ英語の相違の謎を移民の歴史で紐解く
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20K00682
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
中村 不二夫 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (20149496)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語史 / 近代英語 / 統語変化 / 形態変化 / 助動詞do / 進行形 / 否定辞縮約 / 数詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載したように、同じ1つの言語でありながら英米で異なる理由を移民の歴史の観点から説明することが主眼である。本年度は、愛知から大阪へ転入し、教育・研究・生活環境が変わったこと、新型コロナのせいで、オンデマンド教材づくりに時間と労力を奪われ前半は研究がおろそかになりがちだったこと、ヨーロッパで行われた国際会議の口頭発表や広島英語研究会夏季集中研究会の招待講演もとりやめたことなど、不測の出来事に見舞われたが、受給1年目をこれまでの国際会議口頭発表を論文にまとめる絶好のチャンスととらえ、効率よく作業した。 具体的には、第48回ポズナニ言語学会(2018年9月、於ポズナニ大学)における口頭発表を、基数詞と序数詞の2つの史的変化に分け、英米の違いを浮き彫りにしながら論文の形にした。英文校閲も済ませ、本務校の紀要2021年9月号と同3月号に掲載されるのを待っている。また、第6回後期近代英語に関する国際会議(2017年8月、於ウプサラ大学)における口頭発表も論文の形にしたので、平成3年度中に学会誌に投稿する。現在分詞の進行形という稀有だと信じられてきた語法の歴史を扱った研究で、日本発の異彩を放った研究になろう。2015年以降に国際会議で口頭発表したときの配布資料は、手を加えることなくresearchmapで一般公開しているが、この発表はアクセス数が2番目に多い発表である。これらの口頭発表は、十分に熟成させ問題ないことを確かめたので、公刊することにした。どちらも膨大なデータに裏打ちされた研究である。 次年度も、権威ある国際会議で口頭発表するために渡欧・渡米できるよう、あるいはウェブ学会発表できるよう研鑽する一方、he don' t [= doesn' t] knowのような三人称単数現在の助動詞doの使用が遅くまでアメリカで使われた理由などについての研究を論考としてまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転入による教育・研究・生活環境の変化と新型コロナへの授業対応のため、7月中頃まで研究がおろそかになりかけたこともあったが、複数年事業の2年目となる令和3年度から次々に研究成果を目に見える形で公刊できるよう、受給1年目をこれまでの国際会議口頭発表を論文にまとめる絶好の機会ととらえ、黙々と作業した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナが収束したら、口頭発表のために直ちに渡欧・渡米できるよう、着々と準備を進めている。その一方で、国際会議発表という狭き門に通りながらも、昨年は不慣れが原因でウェブ学会の発表を断念せざるを得なかった後悔と反省から、ウェブ学会が依然として続いても対応できるよう、2021年3月に、科研申請時には物品購入希望に入れていなかった、画質と音質の点で比較的性能のよいノート型パソコンを購入した。遅れを取り戻したい。
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Causes of Carryover |
国際会議口頭発表のための渡航費が執行できなくなったこと、連動してその読み上げ原稿と配布資料の校閲料が不要になったことが大きな原因である。 linguist.listという言語学研究者向けのサイトに関する限り、あくまで対面式にこだわっている学会も相当数あるので、発表のための渡航費用と英文校閲料として使用したい。ウェブ学会発表の場合は、校閲料だけが必要なので、数多く発表したい。また、直接的にも間接的にも本研究課題に関係する過去の国際会議口頭発表や和文論文も、順次公刊用の英文にしたいと考えている。その際の校閲料として執行する。
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