2021 Fiscal Year Research-status Report
主述のフレームの協働に着目した構文拡張現象と概念基盤の構築に関わる認知言語学研究
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20K00683
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
對馬 康博 藤女子大学, 文学部, 准教授 (50583093)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セッティング主語構文 / it非人称構文 / 参与者主語構文 / 無生物主語構文 / 構文ネットワーク / 主述のフレームの協働 / 換喩 / (間)主観性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(令和3年度)は、(1)当初の計画である英語の「(a)セッティング主語構文と(b)it非人称構文」の拡張現象とそれに関わる概念基盤の解明を目指した。さらに、これらに関連する(c)「参与者経験構文」を分析対象に含めた。具体的には、主に以下の3点を明確にした。1点目として、これらの構文は、主語名詞句の際立ちの移行を通じてだけではなく、名詞句に関わるフレーム知識も換喩により移行しズレを見せつつ、主語名詞句のフレームと動詞のフレームが協働することで産出され、同時に構文独自の意味を確立している、ということである。2点目として、(a)の構文の(一般的)経験者はグラウンディング要素である話し手・聞き手の間主観的やりとりの中から規定されること、(b)の構文の経験者は話し手でありながらも、話し手とそれを取り囲む環境世界とのやりとりを通じて生まれる環境認識までも含む点で、((c)の構文よりも)主観的な経験である、ということである。3点目として、上述の通り、これらの構文の産出の概念基盤は、主述のフレームの協働、換喩、(間)主観性の3つの観点であるが、さらに、それらの要因により、これらの構文が緩やかな構文ネットワークを成している、ということである。 次に、(2)英語の無生物主語構文の動作主性を明らかにした。この構文は当初の計画では扱う予定がなかったが、(1)の研究過程から副次的に派生する形で関連性が生まれたため、本研究課題の一環として取り上げることとした。具体的には、無生物主語構文を動作主性が高く行為連鎖に基づくタイプと,動作主性が低くセッティング主語に基づくタイプに分けて考察し、どちらのタイプも主語名詞句のフレームと動詞のフレームの協働の観点から概念基盤が整備され、この構文の生起の予測性が立つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度同様、当該年度の研究自体は順調に進んでいるが、COVID-19の影響により学会・研究会が中止されたり、オンラインにて開催されるなどの措置が取られる中、研究成果の公開(中間報告)に関しては、当初の予定よりもやや遅れている。まずは、研究遂行上で副次的に取り上げられた(2)無生物主語構文の動作主性の研究成果に関して、国内学会の雑誌(査読付き)に投稿し、令和4年3月に公刊された。さらに、(1)の研究成果については、国内外の学会・研究会及び論文投稿などを通じて公表が必要であるが、この点は今後公開を目指していく。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況でも述べたように、当該年度の研究自体は順調に進んでいるものの、研究成果の公開(中間報告)がやや遅れているため、今後、国内外の学会・研究会及び論文投稿などを通じて公表していく。 次年度は、研究計画通り、「we, you, they一般人称主語構文」の拡張現象とそれに関わる概念基盤の解明に取りかかる。
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Causes of Carryover |
一部の研究成果(中間発表)の遅れに伴い、当該年度の経費を次年度使用額として繰越すこととなった。この繰越し金はやや遅れている研究の遂行のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)