2020 Fiscal Year Research-status Report
A sociophonetic study of accents of English considering their local history of English
Project/Area Number |
20K00684
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三浦 弘 専修大学, 文学部, 教授 (00239188)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 音声・音韻 / 英語の多様性 / 社会音声学 / 発音変種 / ランカスター英語 / 歴史音韻論 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウィルス感染症の世界的な流行のためにイギリスへ渡航できなかった。そのために新しい現地調査を実施せず,経費は全く使用しないで全額を次年度に繰り越した。 しかし研究は過去に収録したデータをもとに,イングランド北部の英語方言であるランカスター英語について音響的な分析をして学会誌に論文を一本発表した。また過去の研究協力者がラウトリッジ社から2018年に出版した現在の標準イギリス英語音声学の概説書を翻訳し,その傍注として各種英語方言の発音に関する差異,及び英語史の観点から現在の方言差が生じた原因や文化的な考察を論じ,英語音声学のテキストとして出版した。 ランカスター英語に関する考察は令和元年度の現地調査で収録した音声を分析したものである。母音特徴の分析であるが,単一母音ではCLOTH母音とPALM母音に特徴があり,標準イギリス英語同様にGOOSE母音の前舌化,及びTHOUGHT母音とNORTH母音とFORCE母音の融合と狭母音化が進行していることを示した。また,FOOT母音とSTRUT母音が同じ音素であるとは言えないことを音響的な音声分析のデータから証明した。さらにNURSE母音では綴り字が <ur> の単語と <ir> の単語では発音に差異が見られることも実証的に示した。同様に二重母音についてもイングランド北部英語の伝統的な特徴の保持と新しい変化について論じた。 FACE母音については特に興味深い結果が得られた。「旧軟口蓋摩擦音」と呼ばれる中英語期まで /x/ と発音されていた綴り字 <gh> をもつ語群のFACE母音が以前のイングランド北部英語では /ei/ と発音されて,他のFACE母音の単一長母音 /e:/ と対立していた。この対立はかなり薄れてきたが,ランカスター方言話者の一部には残っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の世界的な流行のためにイギリスへ渡航できず,新しい現地調査が実施できなかった。また過去のデータの再分析にしても大学院生を研究室へ入室させられなかったので,自分一人でできる範囲にとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度もイギリスへの渡航は難しそうなので,過去のデータの再分析による考察を行う。大学院生の対面授業も開始されたので,大学院生を研究室へ入れて,複数のテーマのための音声分析を再開する。また本研究課題に加えた新しい視点である英語方言学にかかわる歴史音韻論を詳細に研究する。 令和4年度にイギリスへの渡航が可能になれば,遅れている現地調査を複数回実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の世界的な流行のためにイギリスへ渡航できなかったので現地調査が実施できなかった。また,学生のキャンパスへの入校も制限されたために大学院生を研究室へ入れられなかった。したがって旅費も人件費も使用しなかった。しかし,課題研究の中断はせずに,研究代表者が一人で自宅で著作の執筆に励んだ。
|
Research Products
(4 results)