2020 Fiscal Year Research-status Report
Old Norse and Norman French Influences on late Old to early Middle English Texts
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20K00685
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
小倉 美知子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (20128622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Old English / Middle English / homilies / Old Norse / Norman French |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者の専門である中世イギリスまがいの疫病流行のため、海外発表(スペインとイギリス)が延期となり、国内発表(日本中世英語英文学会)もオンラインとなったため、旅費は全く使用せず、来年度に取っておくこととした。国内の図書館すら、大学キャンパスの封鎖などで使用できなかったが、その代わり必要な書物はかなり買いそろえることができた。従って集めた資料の整理と、最終的に研究成果を発表するためのモノグラフの執筆に時間を使った。特に古英語から中英語に移る時期の作品、Layamon's Brut, Ormulum, Ancrene Wisse/Riwle には時間を割いて資料を取ることができた。また過渡期の説教集(Lambeth Homilies, Trinity Homilies, Bodley 343 Homilies 等)についても、必要な資料を収集できたことは、この後の論文・著書の中で扱う資料を揃えられたという意味で、意義があったと思う。そうした中でも、短いとはいえNotes & Queries (Oxford)に Layamon's Brut と Ormulum を中心とした調査を掲載することが出来たのは、一番の成果であったといってよい。反響もイギリス、ヨーロッパの学者達からあって、国際会議で会えない分、メールによってdiscussion をすることが出来た。この論文により、古英語以来の構文が初期中英語に保たれたこと、古ノルド語とノルマンフレンチの語彙的影響は Ancrene Wisse/Riwle を待たねばならぬことがある程度証明できたと思う。最終的にはそうした影響は Wycliffite Bible を待たねば確立しないことも想定できるのだが、それは次年度の調査で明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集と分類に関しては、おおむね順調に進んでいると考える。この疫病の状況が改善すれば、国内の大学図書館はもちろんのこと、海外、特にイギリス、British Library とBodleian Library において、写本を確かめたい。著書の出版以前にしなければならないことなので、何とか研究期間の間に渡航するつもりである。さらに延期されたスペインとイギリスの学会への出席、ポーランドの学会への出席、オーストラリアの国際英語正教授学会への、アドバイザーとしての出席などが予定されているので、少なくとも2022年度までには、こうした発表の場を訪れ、成果を公表したいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本英文学会の5月の大会はオンラインで行われるが、すでに発表が決まっている。また、スペインでの基調講演は6月にやはりオンラインでの開催が決まっているので、ここでも成果の一部が公表できると思う。そのあと、スペインでの一般の発表が2022年、イギリスで2023年、オーストラリアで2024年にアドバイザーとして依頼されているセッションに参加すると共に発表を予定している。また、ポーランドの学会は毎年12月なので、今年か2022年には参加したい。すでに別の論文は投稿しており、結果を待っているところである。このように、研究結果の公表の場は用意されているので、それまでは資料の収集と拡充に時間を費やすつもりである。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナウイルスの影響により、国内の大学図書館に長時間滞在して資料を読むことが出来なかっただけでなく、海外出張(スペイン、イギリス、ポーランド)が予定通り実行できなくなったため、旅費を全く使うことが出来なかった。2021年度、2022年度に、延期された国際学会に出席すると共に、イギリスの図書館にて写本の確認を行う予定であり、そのために助成金を取っておくこととした次第である。
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