2021 Fiscal Year Research-status Report
Old Norse and Norman French Influences on late Old to early Middle English Texts
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20K00685
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
小倉 美知子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (20128622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Old Norse / Old Norman French / Old English / Middle English / loan words |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に続く感染症流行のため、国外での資料収集ができない状態が一番の課題であった。そのため、メールによってイギリス、カナダ、スペインの中世研究者が所有している文献・資料について問い合わせ、ファイルの形で送ってもらうとともに、その内容についてのディスカッションを行った。また、2022年3月京都大学、同志社大学、関西外国語大学、広島大学の研究者に連絡を取り、各大学の名誉教授が所有していて研究室に保管されていた資料を閲覧および一部コピーさせて頂いた。それ以外の19世紀に遡る研究書などは購入を試みたが、すべてを揃えることはできなかった。しかし偶然にも、当該研究者のために国内外の専門家が記念論文集を作成してくれて、オンラインでシンポジウムまで企画してくれたので、その際にかなりの情報を得ることができた。記念論文集は4月中にドイツから出版されるが、中でも Layamon研究家の Jane Roberts と、Old Norse研究家の Richard North の論文は、当該研究者の現在の研究に大いに役に立った。これらにより、2021年12月から2022年3月にかけて、研究は思いの外の成果を見ることとなった。なお、これも感染症等の理由のため刊行が遅れてはいるが、論文4編が出版予定であり、研究発表は2021年5月に日本英文学会、6月にスペイン、いずれもオンラインで行った。発表後に国内外からメールでの質問が寄せられて、この分野に関する興味が感じられ、研究の意義を認識できたことは嬉しかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも説明した通り、2021年暮れから2022年3月になって、それまでは以前に収集した資料によってゆっくりと進めていた研究が、国内外の同分野の研究者の協力により急速に方向性をもって進むようになった。特に Jane Roberts ノルマンフランス語研究と、Richard North の古ノルド語の研究が助けになった。また最近の Richard Dance の初期中英語における古ノルド語の調査も非常に役に立った。彼らは20~30年来の友人であり、このような困難な時期に同じ研究分野でのディスカッションができたことは幸運であった。当該研究者の記念論文集と共に、同じく友人である Hans Sauer の75歳の記念論文集に投稿できたことも幸いであった。学会はオンラインとなって、あまりコミュニケーションが取れなかったが、古くからの友人達の助けによって、今まで文献が少ないためになされてこなかった、英語史の中での古英語後期から中英語初期の研究が進むことが期待できるのは嬉しい。
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Strategy for Future Research Activity |
資料は一応揃ってきたので、整理している段階である。同時に、日本中世英語英文学会の研究発表に応募しているので、そこでLayamon に関する調査をまとめて発表する予定である。また、もし海外に行くことが期間中に可能になれば、London のBritish Library,OxfordのBodleian Library で写本を確かめたいが、ファクシミリは持っているので、語彙研究としては問題なくまとめられると思う。また、現在、モノグラフの形で研究をまとめて刊行するつもりなので、この夏には原稿を完成させたい。Ormulum に関しても資料はそろっており、初期中英語の文献は手元にあるので、今年度中には、モノグラフ1つと論文 3編は書き上げられる予定である。メールによる交信と書籍の購入が中心となるが、できれば研究成果の発表機会をもう少し持った上で、借入語が特殊な文脈のみならずごく普通の文章の中で本来語と置き換えられていった過程を、できるだけ多くの例から説明したいと思っている。
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Causes of Carryover |
感染症流行のため、国内・国外旅費が予定通り使用できなかったこと、特に国外へは毎年、国際学会参加と写本研究のために訪問していたが、国際学会はオンラインとなり、海外の図書館での資料収集に際しての費用が使えなかったため。今年度は、図書の購入によってほとんどを使用する予定であり、万が一、海外渡航が可能になった場合は、それに用いる予定である。
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