2023 Fiscal Year Annual Research Report
Possession in Language: Possessive Notions and Expressions in Adult Language and those in Child Language
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20K00686
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
松藤 薫子 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (90334557)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体部位表現 / 子どもの言語発達 / 形式の多様性 / 主題卓越パラメータ / 複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで様々な研究から得られた知見を統合して、所有の言語理論構築を目指す。具体的には所有に関わる諸概念を概観し、所有の概念がどのように言語化されているのかを、言語理論、類型論、意味論、語用論の視点から検討する。所有の概念化と言語化がどのように発達するかを考察する。 2023年度は、2020年度から2022年度の所有の概念や所有の言語化を考察した知見に基づき、所有表現がどのように獲得されるのかを明らかにするために、まず、様々な所有の形式を使用して、所有を表す複数の意味タイプのうち、どの意味タイプが一番表されているのかを考察した結果、それは身体部位の所有の意味であり、所有の意味の中で中心的な意味タイプであると考えられた。身体部位を表す表現を子どもがどのように獲得するのかを考察し、身体部位の所有を表す形式の多様性のメカニズムを検討した。 2023年度の研究成果は、所有を表す広範囲な意味の中で「人の身体部位の所有」に焦点を当て、それが表す形式の発達過程に関する実証的資料を検討した結果、英語児は主語卓越型言語の特徴を、日本語児は主題卓越型言語の特徴を言語発達の早期に獲得することから、その特徴と複雑性の法則が影響して、英語には外的所有構文があり二重主語構文がみられず、日本語には二重主語構文があり外的所有構文がみられないという結果が生じると議論した。生成文法理論の枠組みで言語獲得モデルを仮定し, 言語獲得理論に, 主題卓越パラメータ(Baker 2001:182-184)や複雑性(概念と形式の対応関係, 概念/統語構造の基本と派生の関係)を捉える法則があれば, 身体部位表現の言語間変異と発達過程が説明可能であることを主張した。
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