2021 Fiscal Year Research-status Report
A Diachronic and Synchronic Study of English Tough Constructions and Relevant Constructions
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20K00690
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
久米 祐介 名城大学, 法学部, 准教授 (40645173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 疑似受動文 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き、tough構文の関連構文である疑似受動文の通時的研究を行った。Dreschler (2015)によれば、疑似受動文は中英語期に動詞と前置詞が融合し単一の動詞として再分析されることで生じた。本年度は中英語のコーパスThe Penn-Helsinki Parsed Corpus of Middle English, Second Edition(PPCME2)と初期近代英語のコーパスThe Penn-Helsinki Parsed Corpus of Early Modern English(PPCEME)から得られた疑似受動文のデータを分析することによって、中英語から初期近代英語における疑似受動文の頻度の変化と動詞と前置詞の組み合わせパターンのバリエーションの変化を明らかにした。具体的には、疑似受動文が出現した後期中英語M3ーM4では54例の疑似受動文が検出され、1万語当たりの頻度は0.066であった。初期近代英語のE1では76例が検出され1万語当たり1.339、E2では162例で2.578、E3では179で3.305であった。ここから、中英語から初期近代英語の疑似受動文は徐々に頻度を増していったことがわかる。さらに、動詞と前置詞の組み合わせパターンについては、M3ーM4では34パターン、E1では38、E2では85、E3では、92パターンであった。疑似受動文の頻度が増すにつれ、前置詞と動詞の組み合わせパターンのバリエーションが豊富になっていったことがわかる。その結果、動詞と前置詞が融合する疑似受動文から前置詞句が動詞に付加するタイプの疑似受動文が派生したと仮定することができる。次年度は付加タイプの疑似受動文の統語分析を行い、どのような派生によって付加タイプに課せられる意味的制約が生じるのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備研究の段階で立てた仮説通りのデータが得られたため、今後の理論分析にスムーズに移行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたデータとその分析に基づき、動詞と前置詞が融合する前置詞句動詞タイプの疑似受動文から前置詞句が動詞に付加する前置詞句タイプの疑似受動文への変化を生成文法の理論的枠組みで考察する。やはり統語分析においては付加詞を形成する前置詞句に生起する目的語をどのようにして主語と関連付けるかが課題となる。現段階では、何らかの操作によって前置詞句内から主語へ移動する派生と前置詞の目的語に空の代名詞を置き、何らかの操作によってリンクさせる派生を仮定し、どちらが理論的・経験的に妥当であるか検討を行っている。
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