2022 Fiscal Year Research-status Report
A Diachronic and Synchronic Study of English Tough Constructions and Relevant Constructions
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20K00690
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
久米 祐介 名城大学, 法学部, 准教授 (40645173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中間構文 / 疑似受動文 / Relator / 特徴付け制約 / be受動文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はtough構文の関連構文である中間構文と疑似受動文にDen Dikken (2006)で提案されたRelator主要部がそれぞれの構文の歴史的発達において導入されたという仮定の妥当性を、保坂(2014)で提案されたbe受動文の発達と高見(2011)で提案された状態の受動文に課せられる特徴付け制約に関連付けて説明を試みた。 保坂によれば、古英語ではbeon/wesan受動文が状態を、weorthan受動文が動作をそれぞれ表していた。weorthan受動文は初期中英語ではwurthen受動文として動作の意味を保持していたが、12世紀前半には消失してしまった(weorthan, wurthenはthornをthで表記)。以降、be受動文が状態と動作の両方の意味を表すようになったが、その統語構造は異なる。状態を表す受動文ではbeは連結詞としてコピュラ構造をなすが、動作の受動文ではbeは連結詞から助動詞に文法化し、Tに直接生成されるようになった。状態のbe受動文と動作のbe受動文はそれぞれ[TP DP [T′ be [VP PP]]]、[RP DP [R′ be [AP PP]]]と仮定する。 さらに、本研究は高見(2011)で提案された状態の受動文の特徴付け制約:「受け身文は、話し手がその主語を特徴/性格付けするときに適格となる」は中間構文と前置詞句(付加)タイプの疑似受動文にも適応されるとし、この制約はRP構造から導かれると仮定する。すなわち、中間構文では起源である事象を表す能格構文にRelatorが導入されたことによって主語の特性・属性の叙述的解釈が生じたため、疑似受動文では起源である動作を表す前置詞(句動詞)タイプの疑似受動文にRelatorが導入されたことによって主語の叙述的解釈が生じたため、それぞれに特徴付け制約が課せられるようになったと結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間構文と前置詞句(付加)タイプの疑似受動文がそれぞれの起源である能格構文と前置詞(句動詞)タイプの疑似受動文から再分析されRelatorが導入されたと主張する際に構造の劇的な変化が問題となるのではという指摘に対して、be受動文の発達を根拠にすることにより、本研究が主張する構造変化は妥当であるという経験的理論的根拠が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
tough構文と意味的統語的関連性がある中間構文と疑似受動文の歴史的発達では、Relatorの導入を仮定することによって、それぞれの意味的統語的特徴が適切に説明される。今後は各時代においてこれらの構文を構造、意味、語彙など様々な観点から比較し、その共通点と相違点を見出し、tough構文の歴史的発達過程を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
極めて少額であるため使用計画に全く問題は生じません。
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