2021 Fiscal Year Research-status Report
協働学習における対人技能と自律性を高める活動デザインの開発
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20K00698
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田中 信之 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 准教授 (80288331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺津 嘉之 関西学院大学, 日本語教育センター, 講師 (00599201)
中尾 桂子 大妻女子大学短期大学部, 国文科, 准教授 (20419485)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協働学習 / パーソナリティ / 対話 / 外向性 / 学習者意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,パーソナリティと状況・環境が対話にどのような影響を与えているのかを探ることを目的の一つとした。特に協働学習の成否に関わる可能性がある「外向性」に着目し、(1)学習者は協働学習における対話をどのように認識しているか。(2)対話に対する認識とパーソナリティはどのような関連性があるかを研究課題とした。 学部留学生16名を対象に対話的評価活動を実施し,学習者意識とパーソナリティ調査から分析する。まず,学期末にインタビューを行い,質的内容分析により仲間との対話に対する学習者意識を分析した。結果,対話がうまくいくために重要なこととして《場づくりの重要性》《人間関係づくりの重要性》《伝達力の重要性》が抽出された。次に,パーソナリティ尺度(TIPI-J)で外向性の得点が低い学習者に注目し,カテゴリーにおける発話を詳細に見た。結果,内向的なパーソナリティが対話にネガティブな影響を及ぼす可能性が示された。一方,内向的であっても,対話のプロセスや成果に自分が関わるという当事者意識を持つ学習者,実践を通して対話に慣れてきたと実感する学習者も確認できた。 また、対話的評価活動(ピア・レスポンス)における教師の役割を検討することも目的とした。学習者が自分で考えて判断するようにしながら、教師はどのようにピア・レスポンスに介入できるかを研究課題とした。 実践では教師と学習者の二人で行う「事前打ち合わせ」を設け、学習者が書き手として、どのようなコメントがほしいか考える機会を提供した。その結果、学習者が自分の課題を見つけられるようになっている一方で、教師の助言や提案に頼る場面が見られた。事前打ち合わせに教師がどのように関わるか、教師のスキャフォールディングと学習者の主体性・能動性の発揮をどのように両立するかが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度前期は開始時に各機関で共通のパーソナリティ尺度(小塩ほか2012、日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J))を用いて調査を行った。しかし、TIPI-Jの結果と他のデータをどのように分析を行うかを検討するのに時間を要した。2021年度はTIPI-Jの結果と質的内容分析を組み合わせて分析する、3つの機関の学習者のTIPI-Jの結果をフリーの統計分析プログラムHADで分析するという方法をとった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたとおり、TIPI-Jの結果と他のデータをどのように分析するかが課題である。 2021年度と同様に(1)対話の録音資料、(2)インタビュー調査録音資料、(3)内省活動表の記述、(4)教師のフィールドノートを共通したデータとし、それ以外は各機関独自でデータを収集する。2022年は各機関のデータ収集の結果を共有するとともに、適切な分析方法を決定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、多くの学会および研究会がオンライン開催となった。そのため旅費として計画した予算が未使用となり、次年度使用額が生じた。次年度は学会および研究会が会場にて開催されることが見込まれる。また、次年度使用額となった分については、学習者へのインタビューを録音したデータを文字化するなどの経費にあてたい。
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Research Products
(4 results)