2021 Fiscal Year Research-status Report
中等日本語教育における21世紀型能力育成授業実践の課題と支援方法に関する研究
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20K00701
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
古内 綾子 明治大学, 国際連携機構, 特任准教授 (50817749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 知子 明治大学, 国際連携機構, 特任准教授 (70450640)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 教育実践 / 21世紀型スキル / 教師の成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシアでは、21世紀の国際社会で活躍できる人材育成を目指した2013年カリキュラム(以下、K2013)が発表され、中等学校の教師らがK2013に即した教育を実践するための取り組みが行われてきた。本研究では①インドネシア人日本語教師らがK2013をどう理解し、どう授業に取り入れているのか実態を明らかにすることと、②インドネシア人日本語教師らの教授活動における困難点とその要因を明らかにし、それを支援する解決方法・支援方法を提案することを目的に研究を進めている。 2020年度は、日本語教育分野の21世紀型能力の教育に関わる論文の調査と、中部ジャワ在住のインドネシア人高校教師のオンライン授業見学を行った。2021年度も、ジャカルタ周辺地域の高校4校、スラウェシ島の高校2校のオンライン授業を見学し、コロナ禍で実際にどのように日本語の授業を進めているか授業方法を観察した。これらの高校では、オンラインで同期型の授業を行っていたが、自身らがインドネシアで中等教育現場で見ていた対面授業とは異なっていることが分かった。また、学校によってはZoom等の双方型授業を行える環境が整っておらず、教師は作成した動画教材を学生に配布し、学生はSNS等を利用して課題を提出するなどの方法が行われていることもわかった。学校や家庭の経済状況や教育環境に応じて工夫した授業を行っていることが聞き取りから分かった。 2021年度は、文献調査を元に作成したアンケート調査実施の予定であったが、授業見学の結果、従来対面授業で行われていた教授方法とは異なっていることが分かり、アンケートの再検討が必要となった。そのため、実施と結果の分析は2022年度に実施することとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度はアンケートの本調査及び、インドネシア国内での日本語授業の見学と教師へのインタビュー調査を計画していた。しかし、2021年度も2020年度に引き続き新型コロナウイルスによる学校教育への影響で、インドネシア国内ではオンラインによる授業が継続され、日本語授業も従来の授業とは異なる方法での実施が続いていた。インドネシア人教師に対して聞き取りを行った結果、通常とは異なる授業をしていることもわかり、計画していたアンケートの見直しなどをする必要が生じたため、本調査は実施しなかった。また、インドネシアへ渡航しての調査についても、渡航制限や渡航前後の隔離措置などもあり難しい状況であり実現していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前半には、2021年度末から行っている予備調査を元に、本調査用のアンケートを作成・実施し、その結果の分析とまとめを行う。具体的には、予備調査に参加した教師らを通じ、インドネシア各地の日本語教師会会長に連絡し、アンケートへの協力を依頼する。また、FacebookなどSNSを利用し、広くアンケート調査への回答を依頼する予定である。そして、その結果をまとめ、学会等で発表する。 現地調査については、インドネシアへの入国制限状況及び出入国時の検査や隔離措置の対応状況を見て計画する。現在、インドネシア国内への渡航はレベルが引き下げられているものの、到着ビザが取得できる空港が限られ、インドネシア全土への渡航は難しい。また、日本帰国時には72時間以内のPCR検査陰性証明が必要となり、調査日程には通常以上の時間が必要となる。それらを含め調査予定を立てたい。渡航が可能となった場合は、2022年度については、ジャカルタ近郊地域(ジャボデタベック地区)及び、中部ジャワの教員に連絡し、授業見学及びインタビュー調査への協力を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度の予定には、インドネシアでの授業見学や教師へのインタビューなど現地での調査が予定されており、それに伴う渡航・宿泊費、現地での移動費用、通訳料、調査協力者への謝礼等の予算を計画していた。しかしながら、2021年度も新型コロナウイルスの蔓延が拡大し、インドネシアへ渡航制限がなされ、制限が緩和された後も、渡航前後の隔離措置等のため、現地調査は困難であった。そのため、現地調査に関わる予算は使用せず、次年度の使用となっている。
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