2022 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動型学習を取り入れた文法教育に関する基礎的研究
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20K00704
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
堀 恵子 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (70420809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (20450695)
ヨフコバ四位 エレオノラ 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 教授 (10512410)
加藤 恵梨 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70770311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Data-Driven Learning / データ駆動型学習 / 実践授業 / コーパス / 学習者コーパス / 文法 / 日本語教育 / 協働学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,前学期は引き続きコロナ禍の影響によってオンライン授業が行われたため,DDLは授業前の文作成と,オンラインでのグループ活動を行った。後学期は対面授業が実施されたため,授業前の文作成とDDLにおいて参照する媒体の違いに関する意識調査を行った。 成果として3点をあげる。①1年を通じて授業前課題として文作成を行うことで,ウェブツール機能語用例文データベース「はごろも」に収録する学習者コーパスを作成することができた。 ②前学期におけるDDLでは,授業前に作成した例文の正誤と事後に行った正誤判断テストの比較によるDDLの効果に関する計量的分析,およびグループ活動に関する意識調査とを行った。計量的分析に関しては,正答率を比較したところ差がないという結果となった。これは,調査協力者が11名のみと少なかったこと,事前と事後の課題が異なったことによる影響が考えられる。グループ活動に関しては,オンライン会議ツールを通じてのグループ活動はマイク使用の可否,メンバーの態度等によって大きく左右され,意見交換の効果は限られていることが明らかになった。後学期には,媒体の違いを学習者がどのように意識したかに関してアンケート調査を行ったところ,紙媒体とウェブツール媒体の違いは見られなかった。しかし,これも調査協力者11名のみであり,今後調査協力者を増やして継続的に調査を行うことが必要である。 ③文法項目の例文を示すウェブツール「機能語用例文データベース『はごろも』」の意味カテゴリーの見直しを開始した。これまでの意味カテゴリーには77の項目があり,意味カテゴリーから使用したい文法項目を探すことには適していなかった。そこで,意味カテゴリーを3階層にし,表示も見やすくすることで,学習者も含めた利用者が目標とする文法項目を調べやすくすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も引き続き世界的なコロナ禍によって,当初の計画であった実験授業の実施が遅れている。また,対面授業が開始された後学期においても,長引いたオンライン学習の影響でグループ活動が活発ではなかったこと,調査協力者が少ないことなど,当初の計画とは異なる状況が見られた。 また,教育機関によっては研究協力を依頼できる学習者がほぼいない状態が続いたため,授業実践が実施できなかった。これらの理由によって,当初の計画通りには進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,引き続き研究代表者,分担者のそれぞれの授業形態(オンライン授業か対面授業か,ハイフレックス授業か)や,規模等に柔軟に対応しながら, 学習者の学習環境にあわせて,実験授業の実施し,DDLの効果を検証する。 ①実験授業の実施:授業は実施できる形態,規模等に大きく左右されるため,柔軟に授業形態にあわせてDDLの導入や自律学習におけるDDLの観点からの支援を行う。 ②授業の効果の評価:実施前後の理解/産出の正確さの測定,例文作成のしやすさや機能語用例文データベース「はごろも」の利用に関するアンケート調査などを実施する。 ③学習者の用例を評価,データベースへの収録:これまでに学習者が作成した例文を収集,順次研究代表者と分担者によって正誤評価を行い,必要に応じて修正などを加え,機能語用例文データベース「はごろも」の学習者用例に加えていく。正誤判断の方法についても,代表者,分担者の間で協議して進めていく。 ④意味カテゴリーの修正:機能語用例文データベース「はごろも」に掲載している「意味の大分類」の意味カテゴリーを整理,統合して,三階層にし,表示も見やすくする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって,前学期はオンライン授業が続けられたこと,後学期に対面授業になってもグループ活動が活発ではなかったこと,調査協力者が少なかったことなど,当初の計画とは異なる状況が見られたことによって,当初計画した実験授業の実施が遅れた。また,コロナ禍によって学会開催がオンラインでなされることになり,研究成果発表のための渡航費が使用されなかったことによる。 今後は,対面授業の再開によって,授業形態や,規模等に柔軟に対応しながら実践研究を行う。 また,DDLで参照しているウェブツール機能語用例文データベース「はごろも」に関して,これまでに収集した学習者コーパスを格納し,さらに意味カテゴリー表示の改訂を行う。
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