2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00724
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
桑原 陽子 福井大学, 語学センター, 准教授 (30397286)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 読解過程 / 縦断的研究 / 中級日本語学習者 / 名詞修飾節 / 非漢字系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中上級日本語学習者の論文を読むプロセスの変化を縦断的調査によって明らかにすることである。読解教育において軽視されがちな、正確に構文を捉えて読むボトムアップ型の読みがどのように行われているのかを明らかにし、どのような読みの困難があり、それがどのように解消されていくのかを記述する。 2023年度は,2022年度までに行った中上級日本語学習者3名を対象とする論文読解プロセスの観察調査のデータの分析を行った。 2023年度の分析対象は、名詞修飾節の読み誤りの変化である。3名の観察データのうち1名のデータを中心に分析を行い、時間の経過とともに名詞修飾節の範囲の特定に関わる誤りが減少することを明らかにした。これは、名詞修飾節中の読点の捉え方の変化によることが示唆されている。その一方で、語彙・文法に関わる誤りは調査後半になっても減少しにくいことを明らかにした。この結果については、2023年8月に、第26回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(17th EAJS International Conference)において、「非漢字系中級学習者の名詞修飾節の読みの変化」というタイトルで発表を行った。この発表内容は、『ヨーロッパ日本語教育』に投稿し採択されている。 さらに、『専門日本語教育研究』に「教育系の論文・報告における複合助詞「によって/により」の出現状況と読むための手がかり」を投稿し採択された。この研究は、2022年の専門日本語教育学会で発表したものをまとめたものである。 また、『日本語教育』には「漢字熟語の意味推測に利用される漢字の位置情報―ドイツ語を母語とする中上級学習者の事例―」を投稿し採択された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
読解過程の調査データの分析をもとに、3本の論文投稿(採択)と1回の学会発表を行った。さらに、2024年のヨーロッパ日本語教育シンポジウムでも口頭発表に採択されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年までに収集したデータの分析を行い、学会発表を行う。
|
Causes of Carryover |
2022年度に海外の学会に参加を予定していたが、病気治療のために中止した。そのため、海外での成果発表が1年遅れており、2024年8月に開催されるヨーロッパ日本語教師会のシンポジウムで研究成果について口頭発表を行う(採択済み)。そのための海外出張旅費として使用する。
|