2021 Fiscal Year Research-status Report
外国人集住地域の公立小中学校連携による二言語教育支援方法の確立
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20K00726
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 千穂 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (40723250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 良太 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10363003)
渡部 倫子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30379870)
岩坂 泰子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80636449)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化的・言語的に多様な子ども / CLD児童生徒 / 対話型アセスメントDLA / トランス・ランゲージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、1) CLD(文化的・言語的に多様な)児童生徒の二言語作文評価、2)多読プログラム、トランス・ランゲージングを活用したユニバーサルデザインの教科指導を継続して実施した。二言語の作文評価は、学校に常駐の母語指導員と連携して行うことにより、児童生徒の様子をより多面的に把握できた。またこの多角的評価が一般の教員と母語指導員との間での緊密なコミュニケーションの促進につながるという副次的な効果がみられた。それらの意識の変容について、実践に携わった複数の教員へのインタビュー調査により分析を行った。 教育実践については、中学校では社会科と英語科に焦点をあて、研究授業を実施した。社会科では、年度末の集大成プロジェクトとして「地球社会とわたしたち」のテーマでポスター発表を行った。日本語、ポルトガル語、英語のうち、生徒らが使用できる2言語、もしくは3言語を選択して発表した。英語科では、詩の作成をテーマに、トランスランゲージングを活用した授業実践を実施した。普段の受容型の授業に比べて、いずれも積極的に参加する生徒の様子が確認できた。 小学校でも、多読及びユニバーサルデザインを活用した授業実践をおこなった。授業分析の結果から、児童がより主体的に参加できる授業を行うためには、表面的な言語知識を覚えさせようとするのではなく、児童が自ら考え、どちらの言語を使ってでも自ら発話したくなるような授業のしかけを、参加児童の実態に合わせて適切に行うことが必要であることがわかった。ただこのような実践は、どの教師にでもできるものではなく、モノリンガル環境で行う授業実践よりも、より高度な観察・洞察力と、状況に合わせたスキャフォールディングを提供できる教授スキルが必要であることが改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の影響はあったものの、オンラインでの研究会議を定期的に行い、授業実践を継続することができた。また、研究協力者として、愛知県小牧市で日本語指導に長年携わって来られた教諭の伊藤敦子氏に研究フィールド校に入ってもらい、多読やユニバーサルデザイン授業の実践について校内の他の教員への普及をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も言語能力調査と授業実践を両輪で行い、児童生徒の実態を縦断的に観察するともに、実践の定着を図る。また、最終年度(2023年度)に日本の公立学校で実装可能なトランスランゲージングの実践書籍の出版を計画している。2022年度はその執筆・編集を教育現場の実践者とともに進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響により、出張費が大幅に削減されたことにより、次年度使用額が生じた。次年度もこの状況が完全に解消される可能性は少ないため、次年度使用額を活用してフィールド校がある愛知県在住の研究分担者に加わってもらい、実践研究と分析を継続する予定である。
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Research Products
(6 results)