2023 Fiscal Year Research-status Report
外国人集住地域の公立小中学校連携による二言語教育支援方法の確立
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20K00726
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 千穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40723250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 良太 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10363003)
渡部 倫子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30379870)
岩坂 泰子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80636449)
菅原 雅枝 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80594077)
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 名誉教授 (60114815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文化的・言語的に多様な子ども / CLD児童生徒 / 対話型アセスメントDLA / トランス・ランゲージング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、言語能力評価と教育実践をおこなった。特に本年度はトランスランゲージング教育の実践に加え、在籍学級での読書プログラムを推進した。言語能力評価の結果から、教科学習言語能力に課題のある生徒は読書力が低学年レベルのまま停滞していることが明らかとなり、読書力の向上を目指した実践が必要不可欠であることが教員間で共有された。そこで、複数言語環境に育つ生徒が全体の40%以上を占め、さまざまなレベルの生徒がいる在籍学級において、個々のレベルに応じた読書と作文(あらすじ書き)ができる環境を整え、実践した。すべての生徒が各々の課題に取り組む姿が見られ、協働研究をおこなっているフィールド校の教員等からも効果を実感する声が聞かれた。 また、授業と生徒のあらすじ作文の分析から、効果的な実践には、生徒の読書レベルを的確に把握すること、課題に向かう動機づけのための仕掛け(ワークシートの工夫等)を行うこと、レベルに応じたテキストを選択できる環境を整えること、レベルに応じた適切な声かけを行うこと、グループ学習を推奨する必要があることが確認された。さらに、日本語能力が長期間低迷している生徒は皆、読字と書字につまずいていることも明らかとなった。これらの生徒に対しては「書く」行為よりも、キーボードを「打つ」行為のほうが書きことばの習得を促す可能性も示唆された。この点に関しては、どのようなスキャフォルディングが効果的であるかを詳細に検証する必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数言語能力の伸長を目指したトランスランゲージングを活用したユニバーサルデザインの授業や読書プログラムの推進はできたが、その実践をまとめた成果物の出版に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実践の成果として、トランスランゲージングの実践をまとめた書籍を出版する。本年度はその執筆・編集を教育現場の実践者とともに進める。
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Causes of Carryover |
本科研の成果をまとめた書籍を今年度出版する予定だったが実践の方に力を注いだためできなかった。来年度、出版する予定で、その準備(研究フィールド校との打ち合わせ等)と経費の一部に使用する。また、研究時間の捻出のために、本年度同様に教育活動(授業)の代行(バイアウト)を予定している。
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