2022 Fiscal Year Research-status Report
看護・介護現場の接触場面における方言使用実態の調査と方言学習用アプリ教材の開発
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20K00729
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
和田 礼子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 教授 (10336349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良二 熊本保健科学大学, 保健科学部, 研究員 (30218672)
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
吉里 さち子 熊本大学, 大学教育統括管理運営機構附属グローバル教育カレッジ, 特定事業教員 (20544448)
田川 恭識 神奈川大学, 経営学部, 非常勤講師 (00645559)
嵐 洋子 杏林大学, 外国語学部, 教授 (90407065)
國澤 里美 群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (10802613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 外国人介護士 / 介護現場における方言使用 / 方言学習アプリ教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は看護・介護場面における熊本方言の使用状況を調査・分析し、外国人看護・介護者を取り巻く言語環境の実態を明らかにするとともに、多用される方言を効率よく学ぶための学習教材を開発することを目的とする。 2022年度は、アプリ教材の作成をおこなった。これは外国人介護士が自学自習できる聞き取り教材で、具体的には「痛み・症状の訴え」「食事」「日常生活」という3つの場面で行われる介護士と利用者の会話を聞き取るものである。介護士の発話は共通語、利用者の発話は熊本方言である。利用者の熊本方言発話は2020年に介護施設で働く日本人職員40名を対象に実施した「利用者がよく使う熊本方言」に関する質問紙調査」で収集した方言使用例を土台とした。収録する会話は使用される頻度が高く、熊本方言の音声的、文法的特徴の学習に有用なもの、とした。学習聞き取り教材作成に向けて、場面ごとの会話文作成、介護士役男女、利用者役男女による音声の録音を行った後、アプリに実装した。開発したアプリの対応 OS は iOS,AndroidOS である。 アプリのデモ版作成後は、介護士を養成する専門学校の外国人留学生13名(施設での実習経験あり)を対象にアプリ教材使用による学習効果測定調査と、使用による方言意識の変化を訪ねるアンケート調査を行った。アプリデモ版の効果測定調査の結果、方言の語彙力が向上していることがわかったが、方言に対する苦手意識の改善は見られなかった。 また、アプリ教材の開発と並行して外国人(ベトナム人)介護職員を対象に半構造化インタビューを行った。これは2021年に行った調査を踏まえた経年調査である。前回同様インタビューの内容を逐語録にまとめ、SCAT を使用して質的分析を行った。現在、調査結果を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症予防の観点から介護施設に直接出向く形の調査ができなかったため、介護現場での方言使用の録音は、断念した。代替案として、介護施設で働く日本人スタッフを対象とした質問紙調査で収集したデータを分析して、教材作成の資料とした。本研究初年度が、新型コロナ感染拡大が始まった年度にあたり、研究当初の計画を大幅に変更せざるを得ず、それ以後の研究計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
外国人(ベトナム人)介護職員を対象に行った半構造化インタビューの質的分析を進め、コミュニケーションの問題点、業務上の困難点、仕事のやりがいが経験を重ねることでどのように変化したのか明らかにする。 また、収集した方言使用例をデータベース化し、熊本方言の文法、語彙の研究資源としての活用を図る。 さらに、アプリデモ版の改善点を精査して修正し、完成版を公開するとともに、介護施設を運営する事業者に働きかけて、開発した教材の普及に努める。 2023年は本研究の最終年度に当たるため、研究のプロセス、成果を関連学会で発表するとともに、外国人介護士への日本語教育に携わる他地域の研究者と情報交換を行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大の影響で移動が制限されたため、当初計画していた対面での研究会議や作業ができなくなった。また関連学会の大会がオンラインで開催されたため、予定していた旅費を使用しなかった。 2023年度は移動制限がなくなるため、対面での学会発表や、アプリ普及のための活動のための旅費として使用する。 また、最終年度は開発中のアプリの改善を中心に行う。昨年度までに使用していた計算機の性能が芳しくなく、研究開発の効率改善を図るために開発用計算機を購入する。
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Research Products
(3 results)