2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on sustainable development of teacher's practical competency in Japanese language education for children
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20K00735
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 郁雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (30250864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | JSLバンドスケール / 年少者 / 教師養成 / 教師の専門性 / 教師研修 / 日本語指導 / 移動する子ども / 初等中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、年少者日本語教育の実践者の養成および研修に関して、三重県鈴鹿市の教育委員会および学校関係者へのインタビュー調査や資料収集を行った。筆者の所属する研究科は2008年より鈴鹿市教育委員会とJSL児童生徒の日本語教育支援システムの構築を協働開発してきた。その中で、年少者日本語教育の実践者の専門性をどう高めるかについて研究を行った。2020年度は、これまでの研究と合わせて、研究成果として、「JSLバンドスケール【小学校編】」と「JSLバンドスケール【中学・高校編」】を刊行した。さらに、これらの「JSLバンドスケール」を使用して「オンライン無料講座」を2020年11月より2021年3月まで連続5回、開催した。この講座には、全国からのべ200名以上の実践者が参加した。また、鈴鹿市におけるJSL児童生徒の教育支援システムの12年間の実践と構築のプロセスについて調査を行い、その成果と『日本語を学ぶ子どもたちを育む「鈴鹿モデル」ー多文化共生をめざす鈴鹿市+早稲田大学協働プロジェクト』として刊行した。また、国内外の複数言語環境で日本語を学ぶ子どもたちを「移動する子ども」という独自に分析概念で分析し、研究を行った成果を『「移動する子ども」学』としてまとめ、刊行した。これも、年少者日本語教育の実践者養成と研修に役立つ研究成果である。また、オンラインによる研究成果発表を行った。2020年7月、英国日本語教育学会(BATJ)で「「移動する子ども」学と日本語教育」と題した講演を行い、2020年12月には、シドニー国際交流基金主催のセミナーで「オーストラリアで「移動する子ども」を考える」と題した研究発表を行い、2021年3月には早稲田日本語教育学会2021年春季大会で「子どもと日本語教育ー専門家の養成・研修のあり方を実践から考える」と題したパネルセッションを企画し、研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、海外調査がすべてキャンセルとなったため、当初の研究を変更せざるをえなかった。その分、国内の調査地で調査研究とその成果のまとめの作業を行った。また「JSLバンドスケール」を刊行するとともに、「JSLバンドスケール」を使った「オンライン無料講座」を5回(2020年11月から2021年3月)実施することができたた。これは、「JSLバンドスケール」が年少者日本語教育の実践者の実践力向上にどのように役立つかを考える貴重な機会となった。参加した実践者は、北海道から沖縄までの、小中学校、高校で、あるいは、地域の日本語教室などで日頃より子どもたちに日本語を教えている先生方である。それぞれの教育現場で、さまざまな条件や制限、それにともなう困難な課題があることを改めて認識し、参加者同士で共有することができたのは、この研究の成果であると思われる。今後は、これらの講座を継続し、教育現場の実情を把握するとともに、その中で、実践の実践力を向上させる方法について研究していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染の収束がまだ見えないため、2021年度も、引き続き、オンラインによる調査研究を続けるつもりである。また、三重県鈴鹿市教育委員会が開催する教師研修にオンラインで参加し、実践者と協議を行う。鈴鹿市とは、2008年以来、これらのJSL児童生徒への教育支援システムを構築してきた。その成果は、『日本語を学ぶ子どもたちを育む「鈴鹿モデル」ー多文化共生をめざす鈴鹿市+早稲田大学協働プロジェクト』として2021年3月に刊行した。これを足掛かりに、さらに、年少者日本語教育の実践者の専門性を高める方法について研究をしていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた海外調査および国内出張ができなかった。そのために予算計上していた旅費、出張費が大幅に残った。次年度においては、より効率的に使用する方法を検討したいと考える。なお、2020年度は、資料整理やオンライン講座運営補助などで、アルバイトを使用した。2021年度においても、同様の講座を開催し、そのための経費を使用する予定である。また、コロナ感染が収束したときには海外調査を実施したいと考えている。
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Research Products
(9 results)