2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on sustainable development of teacher's practical competency in Japanese language education for children
Project/Area Number |
20K00735
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 郁雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (30250864)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | JSLバンドスケール / 年少者 / 教師養成 / 教師の専門性 / 教師研修 / 日本語指導 / 移動する子ども / 初等中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、年少者日本語教育の実践者の養成および研修に関して、以下の実践研究を実施した。一つは、研究成果として前年度の刊行した『JSLバンドスケール【小学校編】』および『JSLバンドスケール【中学・高校編】』を使用した「オンライン講座」の実施である。これは前年度から継続して実施している無料の講座である。2021年度は4月から1クール5回の連続講座を2クールと2回、計12回実施し、第4クールは2022年度に引き継いで実施している。2021年度実施の12回で、延べ500人以上の参加者がいた。この講座には全国のJSL児童 生徒に日本語教育を実施している教師や指導者が参加しているが、これらの参加者からの意見や質問等を受けて、研修内容を工夫しながら実施しているので、実践研究としての意味がある。具体的に言えば、これらの児童生徒への日本語教育には地域間の共通性と個別性があるが、それらの全国の事情に関する情報を集めながら、参加者と意見交流し、課題について協議することは本研究にとって極めて重要な機会と実践の場を提供していると言える。その成果は、確実に蓄積されつつある。また、これまでの研究成果をまとめた『「移動する子ども」学』を使用した研究会(早稲田こども日本語研究会、オンラインで実施)を2021年6月から実施した。「移動する子ども」学を考えるシリーズとして、7回、実施した。毎回、国内外から1人あるいは2人の専門家を招聘し、協議を行った。これまで招聘した専門家は日本語教育だけではなく、文化人類学、社会学、社会言語学、第二言語習得などを専門とする研究者であり、計13名であった。毎回、国内外から多くの参加者を得て実施した。これまでの参加者数は合計で400名以上に上る。参加者の多くは教師や研究者、一般の実践者であり、本研究のテーマである専門性について協議を深めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染が依然収まらず、当初予定していた海外調査はすべてキャンセルとなったため、オンラインによる研究会や研修会を実施した。その結果、国内各地のJSL児童生徒の現状に関する情報が多数集まるようになった。さらに、現場で教えている教師や実践者たちの抱える課題についての情報も得ることもできた。また、早稲田こども日本語研究会には世界各地で子どもに日本語を教えている多数の実践者等が集まっている。アンケートやメールで、各地の状況や課題について意見が寄せられており、本研究を進めるうえで貴重な成果となっている。コロナ禍であるため、多くの制限があるが、2021年度の研究会と研修会を続けながら、さらに研究方法を工夫して進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染の収束がまだ見えないため、2022年度も引き続き、オンラインによる調査研究を続けるつもりである。すでに『JSLバンドスケール【小学校編】』『JSLバンドスケール【中学・高校編】』を刊行したが、それを使った研修会を続けていきたい。すでに成果として刊行した、三重県鈴鹿市の協働プロジェクト「鈴鹿モデル」の書籍をめぐり、学校現場の実践者と協議を重ねていきたい。また「早稲田こども日本語研究会」をつうじて、国内外の実践者との会合を持ち、本研究テーマについて考察を継続するつもりである。
|
Causes of Carryover |
2021年度までコロナ禍により海外調査ができなかった。今後、コロナ禍の収束状況を見て、海外調査も実施したいと考えている。また、国内においても、三重県鈴鹿市などで実践者の研修のあり方等について調査をしたいと考えている。
|
-
-
-
-
[Book] 移動とことば22022
Author(s)
川上郁雄・三宅和子・岩﨑典子
Total Pages
256
Publisher
くろしお出版
ISBN
978-4-87424-896-6