2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on sustainable development of teacher's practical competency in Japanese language education for children
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20K00735
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 郁雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (30250864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | JSLバンドスケール / 年少者 / 教師養成 / 教師の専門性 / 教師研修 / 日本語指導 / 移動する子ども / 初等中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、年少者日本語教育の実践者の専門性をどう高めるかという課題について、引き続き、実践を通して研究を継続した。2020年に研究成果として刊行した『JSLバンドスケール【小学校編】』と『JSLバンドスケール【中学・高校編】』を使用して「オンライン無料講座」(zoom使用)を毎月行った。この講座は2020年11月から2024年2月までの3年4か月の間に、全国から約500名の実践者が参加した。この講座が実践者の専門性を向上させるためにどのように役立っているかを検証するために、7、8月にこの講座受講者を対象にアンケート調査とインタビュー調査を行った。その結果、「JSLバンドスケール」を使った本講座が有効であることがわかった。この調査結果の概要は研究代表者のHPで公開するとともに、11月に山形市で開催された日本語教育学会秋季大会で研究成果をポスター発表した。また、9月に豪州シドニーで開催された「JSAA-ICNTJ2023」国際学会で、「「移動する子ども」学からケイショウゴ教育を考える」と題したパネルセッションを実施し、研究代表者がこれまで研究してきた「移動する子ども」学の成果を発表した。さらに、11月には、北海道高等聾学校より招聘され、教員研修会で「JSLバンドスケールの聴覚障がい教育への応用の可能性」として題して講演を行った。また、24年2月には「早稲田こども日本語研究会」でカナダからゲストを招き、「移動する子ども」学について協議を行った。また、2023年4月から、「JSLバンドスケール」の小学校低学年から中学・高校までのJSL児童生徒を対応した教材開発を行った。これは、子どもの年齢・学年と日本語の発達段階を踏まえ、子どもが主体的に参加できる様々な言語活動を開発するものである。すでに、30数個の「言語活動案」を作成したが、まだ公開するまでには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染のため、当初計画した海外調査がすべてキャンセルになったため、その後、研究を変更せざるを得なかった。しかし、それ以外は順調に進んでいる。まず、「JSLバンドスケール」をテキストにした「オンライン講座」を3年4か月実施し、全国から500名の受講者を得て、さらに受講生を対象にしたアンケート調査とインタビュー調査から、ポジティブなフィードバックを得ることができた。また、その講座の受講生からの要望や課題を提示していただき、それがきっかけとなり、JSL児童生徒を対象とする「言語活動案」の開発を進めることができたのは成果であった。ただ、これらの研究成果を踏まえ、全国の「実践者の実践力向上を目指す持続可能な方法」を開発するまでには、時間不足により至らなかった。この点を、次年度の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、繰り越した研究費を活用して、「JSLバンドスケール」をテキストにした「オンライン講座」を全国レベルで実施する方法を研究し、提案する。同時に、2023年度に行った、JSL児童生徒を対象とする「言語活動案」の開発を完成させ、公開する。さらに、この二つの研究成果を学会等で発表し、全国で年少者日本語教育に関わる「実践者の実践力向上を目指す持続可能な方法」を実際に運営する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染のため、当初計画した海外調査がすべてキャンセルになったため、その後、研究を変更せざるを得なかった。今後は、「JSLバンドスケール」をテキストにした「オンライン講座」を全国レベルで継続的に実施する方法を研究する。同時に、2023年度に行った、JSL児童生徒を対象とする「言語活動案」の開発を完成させ、公開する。さらに、この二つの研究成果を学会等で発表し、全国の「実践者の実践力向上を目指す持続可能な方法」を構築する。
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