2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語教師の母方言を生かした「機能表現指導の指標」
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20K00737
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
高村 めぐみ 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (10551111)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機能 / 村山方言 / 無アクセント / 日本語教師の母方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、研究実施計画に基づき、以下主に3つのことを行った。 ①地域方言(山形・村山方言)での「機能を含む発話」資料を作成した。村山方言を母方言とする発話協力者2名(プロのナレーター)分の2方言(東京方言と村山方言)での10機能×3パターンの発話を採取した。当初、「大学場面での若者二人の会話」を資料とする予定であったが、資料収集前の予備調査により、母方言話者同士であっても、若者同士は方言を多用しない現状があるとのコメントが多くあったため、「家庭内での祖父母と孫(大学生)の会話」を想定した場面に変更した。 ②収集した音声資料の信頼性を確保するため、1.機能に相応しいか、2.自然な会話であるかの2点について東京方言を母語とする話者と村山方言を母語とする話者に聴覚印象による印象評定を依頼した。 ③信頼性が確保された上記音声資料を用いて、村山方言で話す際の韻律と共通語で話すときの韻律を比較し、どの機能の時に村山方言の影響が出やすいか、主に韻律3要素(持続時間長、Fo、音圧)に焦点とあてて分析、考察した。 以上の方法により、村山方言と東京方言を比較、分析、考察した結果を論文にまとめた。この結果は、東京方言を母方言としない日本語教師の音声指導の際に有益であると考える。それは、東京出身以外の教師から、「共通語のアクセントやリズムに自信がないから、音声指導をすることに躊躇してしまう」という声を聞くことがあるのだが、教師が自分の共通語の特徴をあらかじめ知っておくことで、出身地に関わらず、どの教師も自信をもって音声指導を行うことができるようになると考えるからである。本研究が日本語教育における音声指導に寄与貢献することを望む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に続き、新型コロナウイルスの影響で、大阪・山形への出張ができず、現地での音声資料の収集ができなかったため、研究方法を大幅に変更する必要があった。新たな研究方法を行うための準備に時間がかかってしまった。当初の予定では、令和3年度に山形・村山方言と同様の研究を、大阪・摂津方言でも行う予定であったが、村山方言しか完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪・摂津方言の研究は完了していないものの、資料収集はほぼ終わっている。令和4年度は音響解析を行い、東京方言、および村山方言と摂津方言を比較する予定である。 調査協力者が安心して研究に協力できる状況になった場合は、現地に赴き、両方言を母方言とする日本語教師に音声指導を依頼したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で山形、大阪への出張ができなかったことに加えて、研究会、学会が全てオンライン開催だったため、旅費の支出がないため。令和4年度は、資料収集、調査で出張ができるようになった場合は、旅費、および調査者への謝礼として支出が増えると考える。
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Research Products
(2 results)