2021 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアにおける日本語教師の統合型協働モデルの構築と新しい教師研修の開発
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20K00738
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 英治 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (50546322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 薫 摂南大学, 外国語学部, 教授 (40346581)
松尾 憲暁 岐阜大学, グローカル推進機構, 特任助教 (80626656)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教師間協働 / 日本語非母語話者教師 / 統合型協働モデル / 教師研修 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は海外の日本語教育現場における非日本語母語話者教師(NonーNative Teacher)と日本語母語話者教師(Native Teacher)との間に展開される教師間協働に関する質的な研究である。東南アジアにおいては、特にタイとベトナムにおける学習者の増加が見られる一方で、日本語教師の不足が大きな課題の一つになっているが、教師間協働を前提にした教員養成や研修も今後の喫緊の課題になっている。そうした背景を受けて、本研究では海外現地の非日本語母語話者教師へインタビューを実施し、その協働に関する事実や考えをリサーチして協働モデルを構築し、これまで構築してきている日本語母語話者教師のモデルと統合させて、教師間協働のリアルに迫ろうという研究である。 今年度は本研究の開始年度から状況が変わらず、海外渡航がコロナ感染症の影響を受けて現地での調査が全くできない状況が続いており、まずは研究の組織・体制づくりとして研究者間で綿密な打ち合わせを進めてきた。これにより、これから調査が実際に開始できた暁に役立つ教師間協働研究のポイントを整理できた。また、現地の調査ができない中でタイの日本語教育関連の研究会に協力を依頼し、オンラインによる研究会を開催し、教師間協働研究の振り返りの活動を行った。振り返りの内容としては、「タイの教師間協働は今、どうなっているのか-文献紹介と話し合いの場の提供」と題して本研究の趣旨説明とこれまでの研究の成果を報告した。また、グループディスカッションを行い、協働の実態と新たな課題収集を行った。新たな課題としては、「コンフリクトの問題はNTとNNTという二項対立だけでとらえるべきではない」「雇用や職場のパワーリレーション」「自分のマイノリティとしての位置や優位性への気づき」等の概念が提供された。教師間協働研究のためのFBによるプラットフォームを作り、その参加も促した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の柱となっているタイの日本語教育現場での調査とベトナムの日本語教育現場におけるタイ人教師、日本人教師へのインタビュー調査が新型コロナウイルス感染症の影響で全く現地調査できていないことが一番大きな原因です。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に関してはようやく海外渡航のチャンスが少し見えてきているので、夏期や冬期授業外機関を利用して、現地の調査を実施したいと考えている。また、同時に今年度実施した遠隔的な研究のための視点整理をベトナムでも同じように開催して、タイの教師らとベトナムの教師らに共通した教師間協働上の課題や解決法を提示できればと考えている。
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Causes of Carryover |
研究の柱となっている海外現地での調査がタイでもベトナムでも実施できていないことにより、旅費として大きく計上していた予算が執行できず、それが繰り越されているために生じている。今年度は少なくともどちらかの国への現地調査ができればと考えている。実際に調査が叶った場合にはその旅費と現地の協力者への謝金などに使用する予定である。
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