2020 Fiscal Year Research-status Report
Organizational problems in argumentative writings of native speakers of Japanese: Their visualization and its educational effects
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20K00750
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
坂本 輝世 滋賀県立大学, 全学共通教育推進機構, 准教授 (30850127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 香奈 和光大学, 表現学部, 非常勤講師 (30828926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語論証文 / 構成 / アノテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究計画の1年目となる本年度において、主な研究実績は以下の2点である。 1)高校生を対象とした過年度調査の分析と公表 日本語を母語とする高校生の書いた英語論証文について、「文章構造を樹状図に転換すると、論証文の構造のどのような問題点が示せるか」「文と文のつながりの種類によってタグ付けを行うと、一貫性を妨げているどのような要因が見られるか」 の2点を解明するために、英文パラグラフ50サンプルを分析した。まず、英語論証文そのものの評価ツールとしてJacobs et.al (1981) ESL Composition Profile をパラグラフ用に変更し、評価者トレーニング用に日本語訳を併記したバージョンを作成し、パラグラフの評価を行った。また、改訂したパラグラフ版のProfileについて、妥当性の評価も行った。次に、TIARAを用いたアノテーションを行い、questionableというタグ付けがされたつながりについて、その原因と思われる要素によって分類した。その結果、TIARAで生成される樹状図によって、1)論証文に必要な要素の有無と位置、2)構成要素の量とバランス、3)問題のあるつながりの数とその出現する階層、の3点について、分かりやすく図示できることが示された。また、文と文のつながりの種類によってタグ付けを行うことが、一貫性を妨げている要因の分類に寄与する、という仮説が示された。これらの研究成果について、大学英語教育学会のライティング指導研究会において口頭発表を行い、議論を深めた上で、論文を発表した。 2)大学生を対象とした調査の実施 研究者それぞれの勤務する大学において、分析の対象とする英語論証文のデータを収集した。また、過年度に収集したデータについて、TIARAによる分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、学習者の書いた英語論証文の構造をタグ付けツールによって図式化することで、英語の論証文として不適切な文のつながりを明示し、学習者の理解を助け、ひいては、学習者が自力で文を適切に配列できるようになるかを、実証的に検討することにある。本年度は、タグ付けと樹状図作成を行うツールTIARAを用いることで、論証文に必要な要素の有無や論証文として不適切な文のつながりが分かりやすく表示できること、また、不適切さの理由を分類することで、論証文の構造における問題点を指摘しやすくなることが示せた。一方で、このような樹状図をフィードバックすることによって学習者の理解度がどのように変化するか、また、学習者自身がTIARAによる分析をすることが可能かどうか、などの点については明らかにできておらず、次年度以降の調査によって解明していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は以下のように進める予定である。 1)論証文としての不適切さの理由の分類について、その妥当性の検討 2)論証文としての不適切さの理由の種類および発現頻度と、構成面での評価および総合評価の相関関係の分析 3)研究参加者(学習者)の英語習熟度レベル、年齢、属性等の相違による適切な評価要素の検討 4)TIARAを用いた構造の図式化に対する、学習者の理解度の分析 5)学習者自身によるTIARA利用の可能性の探索
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症のため、学会・研究会等がほぼ全てオンラインとなり、旅費の支出がなかった。次年度以降の旅費などに利用したい。
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