2022 Fiscal Year Research-status Report
Organizational problems in argumentative writings of native speakers of Japanese: Their visualization and its educational effects
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20K00750
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
坂本 輝世 滋賀県立大学, 全学共通教育推進機構, 准教授 (30850127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 香奈 和光大学, 経済経営学部, 非常勤講師 (30828926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語論証文 / cohesion breaks / graphic displays |
Outline of Annual Research Achievements |
英文パラグラフのOrganization面について、具体的に「何」が問題なのかを、わかりやすく学習者に伝え、理解させることは必ずしも容易でない。そこで、日本語を母語とする大学生に英文パラグラフを書いてもらい、1)その文章構造を文と文のつながりの破綻(cohesion brakes)に着目して分析すると、パラグラフの構成要素とつながりの適切さについて、どのような特徴が見られるか、2)上記のつながりをgraphic display(ここでは樹形図)として、そのパラグラフを書いた学習者に提示すると、学習者は自分で問題点を理解し書き直すことができるか、の2点について考察した。なお、樹形図の作成にあたっては、議論文の談話構造のアノテーション・システムであるTIARA2.0 (Putra, Matsumura, Teufel, & Tokunaga, 2021)を用いた。 分析の結果、1)つながりが不適切である理由について、先行研究(Matsumura & Sakamoto, 2021) のケースと比較すると、「前の文とつなぐ要素の欠落」の割合が高く、「トピックからの逸脱」の割合は低かった。また、2)本研究参加者は、TIARAで分析した樹形図を示され、つながりの問題のある箇所を指摘されると、それがどんな種類の問題であるのかを明示されなくても、かなりの部分を自分で修正することができた。さらに、3)TIARAによる分析を基にした書き直しから4週間後、新たに書いてもらったパラグラフについてTIARAで分析をしたところ、つながりの問題の出現頻度は大きく減少していた。以上から、日本語母語話者の書く英文ライティングにしばしば見られる、文と文の「つながり」の欠如については、TIARAのようなツールによって問題が明瞭に可視化されれば、学習者が自ら修正し、理解を深めうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者については、本研究の一部を基とした博士論文を執筆し、審査のために所属大学に提出することができた。(審査結果については令和5年度となる。)研究代表者は令和4年度に論文を発表したが、そこで用いたデータをさらに質的に分析し、発表予定である。両名ともに、最終年度である令和5年度に研究をまとめ、発表する目処がついている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は以下のように進める予定である。 1)TIARAを用いたgraphic displaysを契機とする、学習者のcohesion breaks理解の質的分析 2)学習者自身によるTIARA利用の可能性の探索
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の世界的流行に伴い、国内・国外ともに対面での学会・研究会が激減したため、旅費として計上していた使用額との差異が生じた。来年度は対面での学会・研究会への参加が見込まれるので、そちらで使用する予定である。
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