2023 Fiscal Year Annual Research Report
総合ドイツ語授業における継続的発音指導に向けた発音シラバス策定と教材の開発研究
Project/Area Number |
20K00752
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中川 純子 お茶の水女子大学, 外国語教育センター, 研究協力員 (80645961)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発音教育 / ドイツ語教育 / 教師教育 / デジタル教材開発 / 自律学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、公教育機関での総合ドイツ語の授業改善のため、発音シラバスを策定し、授業用教材ならびに教授用資料を作成することを目指した。しかし2020年から始まったコロナ禍、その後のウクライナ戦争による往来の制約によって初年度から計画の大幅な変更を余儀なくされた。またコロナ禍をきっかけとしたオンラインコミュニケーションの増加、個人のインターネット環境の飛躍的な進化によって、発音教育に新たな可能性が開かれ、研究の方向に軌道修正を行う必要も生じた。全体として当初の計画とは離れざるを得ないことも多かったが、最終的には、将来につながる方向へと導くことができた。 研究成果は次のとおりである:ドイツで教鞭をとる3名の教師のインタビュー分析によって、発音は単に情報を相手に伝えるだけでなく、話者が自信を持って発話するため、聞き手に話の内容に集中してもらうため、など発音の様々な役割が導き出された。またこの分析からは、コミュニケーションにおける発音の役割を多面的に認識している教師は発音教育に動機付が高いことが示され、教師の動機付けが発音教育改善の重要事項であることが明らかになった。 この結果を受けて、教師の負担軽減になり、かつ学習者を自律に導く実践方法を探った。授業実践を通じて方法論を導き出し、その有効性を確認した。最終成果は学会発表を行なうとともに論文にまとめた。 教材の発信に関しては、ウェブサイトの他、2021年からYouTube チャンネルを開設し、モジュール式教材として、1回の所要時間を最大10分とし、分節素、超分節素の枠組みを取り払った自律学習向け動画シリーズを展開した。ドイツとの往来の支障が少なくなった昨年からは特にドイツの専門家と協議するとともに教材の制作を行なった。このオンライン教材は、教師の負担を軽減する授業実践の基盤をなすツールとして、その効果が上記授業実践によって示された。
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