2020 Fiscal Year Research-status Report
学習英和辞書編纂の発達史:外国語辞書編集者へのインタビュー調査
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20K00755
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小室 夕里 中央大学, 法学部, 教授 (50407863)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 辞書編纂 / 英和辞典 |
Outline of Annual Research Achievements |
長年、外国語辞書編集部にいらした方1名に、対面でのインタヴューを実施することができた。まだ1例のため、一般化することは到底できないが、辞書編纂に影響する、より実践的な側面が明らかになった。編集部と営業との仕事の関係等、出版社内における有機的な繋がり、中学・高校における学習英和辞典の採択方法の歴史やそれによる売り上げの変化、教育行政や時代の変化が辞書に与える影響、テクノロジーの発達による編集過程や最終プロダクトの変化など、言語学的記述の充実とは異なる、しかしながら辞書のデザインに大きな影響を与える事柄についてお話をいただくことができた。(ただし、出版社により文化が異なる点を強調されていたため、他の出版社の編集者に同様にお話を伺うことがより重要になろう。) また、編者・執筆者として英和辞書編纂に携わってきた方、インタヴューの内諾をいただいた3名の方についての下準備を進めてきた。対象者の研究論文をはじめ、学術的というよりも、より実践的な編纂の苦労等に触れた随筆的な文章、書評、出版社の社史等、関連する文献を広く収集し、内容を整理し、質問内容をまとめた。特に、テクノロジーの発展により、電子コーパスが辞書編纂にもたらした変化は大きいが、むしろコーパス以前に、非母語話者が英語の語法記述や例文作成を行う上でのより具体的な工夫について、また、いわば師事していた先生からの依頼で辞書編纂に携わり、実践の中でいかにして辞書編纂方法を確立していったのかについて知ることが、学習英和辞典の発展と、国際的な評価の高さの根幹にあること考えるようになった。よって、この部分についてより具体的な記録を残せるようにお話を伺うことにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の中心に据えているのは辞書編纂者へのインタヴューであるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面にてインタヴューを行うことがほぼできなかった。オンラインでのインタヴューも検討したが、ご協力者があくまで「対面」を希望されることや、面識がなく、ご紹介により初めてお話を伺う上で、対面の方がよいと判断したことによる。ただし、現状を鑑みるに、状況の大幅な改善は望めず、方針を変更する予定である。また、ご協力者がご体調を崩され、インタヴューを延期している状態のものもある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染の収束、終息が短期的に見込めないため、一つにはオンラインにてご対応をいただける方から順次インタヴューを行うこととする。また、インタヴュー前の調査を先に進めることを優先し、状況が改善されるに従って、対面でのインタヴューを適宜実施していく。加えて、ある程度の数が揃ってからウェブサイトを作成することを考えていたが、先行して、プラットフォームを整えておく。
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Causes of Carryover |
インタヴューの延期により、謝礼金の支払いが生じなかったため。
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