2022 Fiscal Year Research-status Report
The Development of ESP Programme for Nursing Students Based on the Combination of CSCL and FTF Class: in Collaboration with Universities in Finland
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20K00810
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山下 巌 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (70442233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40402242)
横島 啓子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50369469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィンランド / CSCL / COIL / オンライン共同授業 / 医療英語 / 看護学 / ESP / ZOOM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が開始となった2020年4月以来、Covid19の影響により、共同研究相手先機関となるフィンランドのユヴァスキュラ応用科学大学(Jamk University of Applied Sciences:以下Jamkと略記)への訪問ができなかったため、本研究の進捗状況はかなり遅れている。Zoom等を活用したJamkとの共同授業実施に関する詳細打ち合わせが対面で実現しなかったことが大きな要因の一つである。 しかしながら、Zoomでの打ち合わせを重ねることにより、不満足ながらも、COIL型授業の同期・非同期型学習環境を簡易構築し、医療英語学習に焦点化したESPプログラムのパイロット・スタディを試行してきた。その結果、スクリーン越しながらも海外の教員や学生と英語によるリアルタイムのインタラクションが可能となり、参加学生の多くが、従来の授業にはない国際コミュニケーションならではの新鮮さを感じるに至り、英語学習へのさらなる意欲を示すようになった。しかしながら、一定期間実施してみると、「教室にいるときと同じ感覚で会話ができない」、「同じ空間を共有している感覚に乏しくついつい消極的になり聞き手に回ってしまう」などといった改善要求の声が学生の授業評価から読み取れ、こうした授業手法にも限界があることが判明した。またフィンランド側からも「互いの顔がスクリーンに映し出されていても、相手との空間的隔たりの圧縮感を肌で感ずることができない」などの意見が寄せられた。確かに、昨今主流のZoom等のような2次元画面では、参加者の顔がスクリーンに並ぶのみで、従来型の一方向コミュニケーションに留まりがちとなり、学生間での双方向インタラクションは機能しにくい状況となっている。その結果、たとえ内発的動機付けが高まる場面であっても臨場感に優位性が突出することなく、積極的な意見交換が実施し難い点が浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究も最終年度を迎えたが、依然として、Covid-19蔓延およびロシアのウクライナ進行の影響により、フィンランドへの海外渡航が不可能となったため、Jamk教員とのZOOMによるディスカッションを頻繁に行い、今年度も2022年10月から2023年1月にかけて、ZOOMを駆使したJamkとの共同授業を出来うる範囲で実施し、その問題点を洗い出すまでには至った。 しかしながら、f-to-fによる十分な意見交換を行うことができないため、Jamkとの共用可能な医療英語教材開発となると、単に教科内容(content:本研究の場合は看護学)を英語を用いて教えるだけでは、本研究が構築を目指す発信力強化のためのESPプログラム開発の目標には到達していない。言い換えれば現地教員や現地看護学生との内容指導(看護学)と言語指導(英語)を統合した効果的な指導方法に関する内容必須言語の設定を含むより綿密な情報交換やインタビューが必要となるが、現状では先述の通り海外渡航ができないことで、思うように研究の核心部を遂行するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年4月以降には、Covid19も5類へ移行され、渡航制限も大幅に緩和されることが予想されたため、本研究を1年延長して継続することとした。 具体的には、2023年8月にフィンランドのJamkを訪問し、これまでの研究で明らかとなったZoomによる共同授業での、一方向コミュニケーションに留まりがちな点を双方向インタラクションへと転換してゆく方略を模索してゆきたい。 これと並行して、Jamk看護学生へのインタビューおよびJamk教員のMarjo Palovaara、Kari Vehmaskoskiとのディスカッションを行い、看護学領域の中でも特に高齢者看護学や在宅看護学等に特化したトピックを設定した教材の開発を行ってゆきたい。 こうした議論を踏まえたうえで教材を簡易作成し、昨年、一昨年同様10月から共同授業を計画・実施してゆく予定である。今回はこれまでのZoomによる授業に加えて、一回のみとなるが、VR空間を利用した3D仮想教室(いわゆるメタバース)をプラットフォームとして活用し、参加学生が自身のアバターを操り、その仮想教室内を自由に移動しJamk学生と看護をテーマに英語で意見交換が行うことができる授業を試行してみたい。 こうした授業の試行後、Scraw(1998)が考案したMeta-cognition Awareness Inventoryを利用して、受講学生のメタ認知スキルの変化に関する調査を実施し、本モデルの学習効果を検証する。さらに、同じく試行授業前後にも、Dornyei and Taguchi (2010)により開発された学習アンケートを実施し、L2理想自己(ideal L2self)とL2義務自己(ought-to L2self)の発達を調査し、自律的学習動機や自己の未来イメージの変化・発展について考察してゆきたい。
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Causes of Carryover |
本来であれば、本研究代表者及び研究分担者は、海外の大学の研究者との打ち合わせや、EuroCALL、AsiaCALL、GloCALLといったの国際学会にて本研究の成果の中間・最終発表を実施する予定であったが、Covid-19及びロシアのウクライナ進行の影響により、海外渡航が制限されていたため、旅費において余剰が生じていることが主な理由となっている。 今後、海外渡航へのハードルが下がってゆく見通しのため、今年度は、研究代表者の山下と分担者の佐藤を中心に、予定通りJamkの訪問や先述の国際学会での発表を実施してゆく。並行して、国内で開催される英語教育・看護教育系の学会(LET、英語教育学会、JaltCALL、日本看護科学学会、看護教育学会)での研究発表(成果発表)を実施してゆくよう計画を組みなおしてゆきたい。
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Research Products
(5 results)