2020 Fiscal Year Research-status Report
第二言語英語学習者の内的発話使用過程の解明と音声発話獲得への応用
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20K00811
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
浅野 恵子 順天堂大学, 医学部, 教授 (40407234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90265992)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内的発話 / 書字外言 / 音読と黙読 / 音声言語生成 / 発話プロトコール |
Outline of Annual Research Achievements |
母語話者は母国語の発話(外言)を行なう時に、意識することなく即座に発話できるのに、なぜ、母語ではない言語の時には、一旦、文章を考えたり、反復しないと声に出して発音できないのはなぜだろうという、素朴な疑問から始まっている。 「声にならない声」である内的発話が実際にどのように施行されているかを検証する方法として、①質問紙調査、②インタビュー調査を実施する。被験者は習熟度別英語学習者、他言語学習者、バイリンガル話者、初期第二言語学習者(特に英語学習を始めたばかりの小学校6年生、中学1年生)を対象とする。また、上記の調査法の回答から③作文による「発話プロトコル法」Hayes & Flower(1980)によるを実施し、作文形式からの内的発話分析を行う。さらに、これらの調査を分析したのちに、④内的発話を意識して行なった後に音声言語生成を行うことによる外言音声が発話可能な訓練方法を開発していく。 上記の目的達成のため、具体的に以下の事項を実施する。1.まずは内的発話という概念について、調査対象者に理解を促す。そこから内的発話の使用を意識させ、言語活動の習得過程へと応用する。2.習熟度の異なる学習者の内的発話が、いつどのような状況でこれらを使用しているかまた、習熟度の違いによって内的発話の頻度が異なるかを検討する。その際に初級学習者の独り言発話過程も調査の対象とする。3.内的発話の獲得過程が母語話者と第二言語学習者では異なる時、バイリンガル話者がどのような獲得過程を経ているかを検証する。4.内的発話が「書字外言」(書き言葉)と「黙読・音読」(読み)とどのように影響し合っているかを検証する。計画は立てていたが、対面で研究対象者に会うことがままならず、データも途中までしかまとめられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画は立てていたが、対面で研究対象者に会うことがままならず、データも途中までしかまとめられなかった。対面でのインタビュー調査によるデータを取る必要がある研究を後回しにする必要があった。特に小学生への調査などは訪問がままならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー形式の質問は質問紙調査回答者の中から特に習熟度との関連から数名ずつ選出し、特徴的な質問紙内での回答(自由形式)の内容を聞きだしていく。③作文による「発話プロトコル法」Hays & Floyer(1980)とは、文法的に整った文章を書いてもらうわけではなく、作文を行ないながら頭に浮かんだ言葉をすべて言わせる方法である。作文中に遂行していくことで、自分が書こうとしていることと(思考)、生み出された表現とのズレを絶えず調整することで、「自己内対話」が起こり、「モニタリング」の過程が生じてくる(内田、1996)。書くという行為を通して、内的発話が行われる過程を間接的に見る手法の一種を用いる。その際に、外言音声と、書かれたものとの比較分析も実施する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に遅れが生じたために被験者謝金などを今年度使用することが不可能となったため次年度への使用額が生じた。
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