2022 Fiscal Year Research-status Report
滞日外国人支援におけるメディエーション 保育者の専門性と複言語・異文化間能力
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20K00812
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
姫田 麻利子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (50318698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 栽喜 大東文化大学, 文学部, 准教授 (40326989)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多文化共生保育 / 複言語 / 異文化間 / 家庭言語政策 / メディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
「多文化共生保育」の日常的な実践と意識についてインタビューにより得られたデータの分析を進め、成果公開をはじめた。インタビュー調査は、外国人の集住地域、急増地域、散在地域それぞれの保育園で実施した。 保育士たちは、『保育所保育指針』(2018)の示すとおり「自らの感性や価値観を振り返りながら、子どもや家庭の多様性を十分に認識し、それらを積極的に認め」ることができているかというと、先行研究の量的調査からは、保護者への言語的支援に注力する一方、保育所の規範を堅持する姿勢がうかがえる。しかし、本研究の調査参加者たちは、規範意識や翻訳通訳の正確さよりも、保護者との信頼関係づくりを優先していた。新しいコミュニケーションコードを作り、時には新しい言語を学び、文化的な対立に遭遇した時には、普段の規範を変えることもある。他方、子どもの二言語使用に関する態度は、経験により知っている事例の数や地域特性、言語習得に関する信念により差があった。多文化共生における就学前教育に関しては特にモデル事例の紹介が不足していると言われるが、たしかに急増地域の現場に集住地域の事例が共有されていると言えない。 欧州や北米の保育者の態度・信念を言語政策の観点から調査した複数の先行研究で、子どもの柔軟な複数言語使用を肯定的に受け止めるのは、多言語話者が多いと指摘されている。 異なる領域の研究者やアクターの協力によりミクロレベル、メゾレベルの取組みに関する情報交換が進み、これまで保育の領域になかった知識により子どもと保護者と協働で新しい文化を創造する保育士の養成を補完されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域差(外国人の集住地域、急増地域、散在地域)を確認するためにインタビュー調査を継続したい。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査を数件加えて分析を深める。 成果公開を進める。
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Causes of Carryover |
海外からの招聘を予定していたが入国制限のため、招聘できなかった。
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