2023 Fiscal Year Annual Research Report
縦断的コーパスを用いたスピーキング力の発達プロセスと発達要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
20K00813
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 真理子 岡山大学, 教育学域, 教授 (90381425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 雄一郎 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00725666)
近藤 悠介 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (80409739)
藤原 康弘 名城大学, 外国語学部, 教授 (90583427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 縦断的コーパス / 学習者コーパス / スピーキング能力 / 言語産出 / 発達指標 / 学習月数 / 流暢性 / 複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、LOngitudinal Corpus of Spoken English(LOCSE)を利用して、高校生の英語スピーキング能力の変遷を23ヶ月にわたり追跡調査しました。調査対象は104名の高校生で、8回にわたる英語スピーキングテストを受験しています。分析結果によれば、高校生のスピーキングテストのスコアは全体的に向上している傾向がありました。8回のテストのうち、最も多かったのはレベル4でしたが、レベル3の受験者数は減少し、レベル5の受験者数は4回目の受験以降急増し、一定の増加傾向を示していました。期間中、スコアが2レベル以上上昇した高校生は24名おり、集団として上昇傾向にありました。また発話データの分析によれば、延べ832件の発話(約400,000語)中、平均して1文あたり5.7語が産出されています。平均的に45秒あたり50語ほど話すことができ、時間の経過とともに発話量だけでなく、発話の長さも増加していました。また、繰り返しやポーズの頻度は減少し、流暢性が向上していることが分かりました。語彙面の分析では、学習月数と異なる単語の数が関連しており、高校生のスピーキングにおいては、洗練された語彙の使用が限られていることも明らかになりました(阿部, 2022)。名詞句の長さは増加しており、発話の複雑性は増していることが観察されましたが、形容詞の使用には変化が見られませんでした(近藤, 2023)。習熟度が上がるにつれて、理由を示す "because" の使用頻度が減少する現象が確認できましたが(Kobayashi, Abe, & Kondo, 2022)、結果を示す"so"をフィラーとして用いていることも同時に確認できました。つまり、理由を示した後の議論が、フィラーとして"so"を用いてしまうことにより、結果を示す内容に限定されてしまう現象が起きているのでした。
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