2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K00815
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 眞奈美 法政大学, 経営学部, 教授 (60583929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グローバル人材 / 多国籍企業 / 英語運用能力 / コミュニケーション能力 / 異文化理解能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、media synchronicity theory(コミュニケーションの認知的負荷と方法に関する理論)や認知神経科学に関する文献調査、ファジィセット質的比較分析(fuzzy set qualitative comparative analysis, fsQCA)の手法に関する先行研究を実施するとともに、本研究チームで8回の打ち合わせを実施した。これらの成果に基づき、すでに収集しているデータをfsQCAを用いて、「多国籍企業海外子会社社員の英語能力、コミュニケーション能力、専門能力、前職との関係、教育レベルと社員の実績との関係」を分析した。特に独創的な点としては、英語能力をリテラシースキル (reading, writing)とオーラルスキル (listening, speaking)に分けて分析したこと、現地社員を管理職と非管理職に分けて分析したことが挙げられる。主な結果は、(1)認知的に負荷の高いコミュニケーションを第2言語で行う管理職には、オーラルで行われたコミュニケーションを補完するためにメールや書類などの手段を用いることが多く、リテラシースキルが重要であること、 (2)非管理職は、英語能力は比較的重要ではなく、教育レベルやコミュニケーション能力が重要であること、(3)専門能力は管理職、非管理職ともに重要であることの3点である。 これらの成果を論文にまとめて、3月に国際的学術誌に投稿して、現在査読中となっている。さらにこれらの研究成果は、令和3年に行われるthe Association of Japanese Business Studiesのthe 34th Annual Meetingで発表され予定である(査読有り)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の3点を目的としている。(1)多国籍企業で活躍することができるグローバル人材に必要とされる能力について分析する。グローバル人材に必要とされる能力について専門能力、コミュニケーション能力、教育レベル、人的資本理論 (human capital theory)に関する文献調査を実施するとともに、分析に必要な統計手法に関しても先行研究を調査した。それらに基づき、すでに収集したデータを分析した。(2)必要とされる能力があるにもかかわらず、能力を発揮できない社員(渡り鳥社員)が存在する理由を、英語能力だけではなく他の能力や会社(組織)の特徴も分析対象に含めて明らかにする。ファジィセット質的比較分析を用いた分析結果から、管理職と非管理職では必要とされる能力が異なることが明らかになった。管理職には英語のリテラシー能力が重要であるが、非管理職には英語能力は重要ではないことが判明し、組織内で成果を上げている非管理職を管理職にした場合、管理職として成果を発揮できないことを明らかにした。(3)分析結果に基づき、応用言語学、経営学双方の立場から、特に日本人のグローバル化にとって真に必要な英語教育、研修の独創的かつ革新的モデルを構築する。令和2年度は、本研究の初年度であり、まだモデル構築には至っていないが、モデル構築に向けてさらに精度の高い研究の準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)本研究をさらに発展させるために社会学、心理学など社会科学の基礎分野をはじめ、国際経営、応用言語学、統計学の専門分野に関連する研究の最新動向の文献調査を引き続き実施する。 2)本研究のこれまでの成果を国際学会 (Association of Japanese Business Studies)で発表する。 3)本研究のこれまでの成果を基にさらに精度の高い質問票調査の作成、実施、分析を行う。なお、研究の対象は、日本以外の多国籍企業の子会社とする。 4)研究成果を国際学会で発表し、専門家からの意見や助言を受け、研究成果を論文にまとめる準備をする。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナウィルス問題発生のため、参加予定の海外での国際学会が参加できなくなったこと、当初予定していた外資系企業インタビュー調査が実施できなかったため。 (使用計画)オンラインで開催される学会に参加するための参加費として使用予定である。
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