2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and Diffusion of the Teacher Training Program to Cultivate Global Citizens in Primary English Education
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20K00857
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
阿部 始子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00449951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小学校外国語教育 / 相互文化的市民性(IC) / 民主的文化のための能力参照枠(RFCDC) / 教師教育 / 地球市民の育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Intercultural Citizenship(IC)を小学校段階から外国語教育を通して育成するための体系的な実践プログラムとそれを普及させるための教員研修プログラムの構築を目的とする。2020年度はDurham Universityで①外国語教育におけるICに関連する理論的枠組みを学ぶ、②イギリスの小学校でフィールド調査を計画していた。しかし、COVID-19感染防止のため、Durham Universityの客員教授受け入れプログラムはすべて停止され、イギリスでのフィールド調査を行うことができなかった。 そこで、オンラインによる学会・研究会・セミナーでの情報収集、文献調査などを中心に研究を進めた。結果①については「理論的枠組み」としてReference Framework of Competences for Democratic Culture(2020:以下RFCDC)が今後の日本の外国語教育の重要な理論的枠組みとなることを確信し、関連する資料(A Portfolio for the RFCDC: Young Leaners Version/ Assessing Competences for Democratic Culture: Principles, Methods, Examples)は重要性が高いと考え、日本語翻訳を行った(欧州評議会からcopyrightを取得する予定)。RFCDCはUNESCOのGlobal Citizenship Educationでも、地球市民として身につけるべき資質や能力として取り上げられており、その重要性はヨーロッパでも高く評価されており、ICの構成要素が多く含まれている。今後の日本の外国語教育にも重要な示唆を与えることが予想され、それらを日本語に翻訳することは意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記①については、ある程度可能であったが、①のフィールド調査についてはCOVID-19感染防止のためDurham Universityの客員教授受け入れプログラムはすべて停止され、イギリスでのフィールド調査を行うことができなかった。しかし、2021年10月にDurham Universityの受け入れが再開される予定なので、2021年10月に3週間程度、2022年3月に3週間程度のフィールド調査を行う予定である(Durham Universityは了解済み)。Durham University 近郊の小学校をはじめ、イギリスのICやCDCに関連する教育を積極的に実施している小学校でフィールド調査を行う予定である。 当初2021年度に予定していたこのイギリスでのフィールド調査と日本の小学校との比較研究は、上記の通り10月のイギリスでのフィールド調査を待たなくてはならないが、日本での調査研究は継続して行いデータ収集・分析に努めている。研究者が教えている南アルプス子どもの村小学校や、東京学芸大学付属小金井小・中学校との共同研究(「小中英語教育における連携カリキュラムの開発―留学生との交流活動の実践から―」(2021)東京学芸大学附属学校研究紀要 第48集より)の一部として児童へのアンケート調査や教員へのインタビュー調査などを実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本での児童のICに関する調査研究成果は2021年10月に実施される第21回小学校英語教育学会(JES)、同11月に実施されるIALIC(International Association for Languages and Intercultural Communication)2021といった学会で発表し、イギリスでのフィールド調査結果を踏まえて2021年度中に論文としてまとめる予定である。 並行して、上記理論的枠組みに基づく小学校外国語科の授業提案を以下の学会や研究会で発表する予定である:児童英語教育学会(JASTEC)第41回全国大会(7月4日)「深い学びを促すために:児童の実態を踏まえた教科書の効果的な活用」、小学校外国語授業づくり研究会プレミアムセミナー(7月30日)「子どもたちの"どうして英語を学ぶの?"に向き合う小学校外国語教育」、東京学芸大学公開講座(8月5-6日)「地球市民を育てる小学校外国語教育の授業①相互文化的コミュニケーション能力の育成、②SDGsと小学校英語」。 2022年度は「地球市民を育てる小学校外国語教育」のための教員研修プログラムの構築と研修の実施、その有用性を評価するためのヒアリング調査や学会発表などを行う予定である。そのためには2021年度に修正した教員研修プログラムをもとに東京学芸大学で夏期・冬期(または春期)に研修を実施し、また学会発表や研究会でのワークショップなども並行して行い、アンケートやインタビュー調査を通して、その有用性についてヒアリングする。これらのデータをもとに「地球市民を育成する小学校外国語教育のための教員研修プログラム」を発行する。また、教師教育の継続的なサポートを実現するため「地球市民の育成を目指した(小学校)外国語教育教師ネットワーク」を組織し、研修プログラムの普及及び教員間のネットワークづくりに努める計画である。
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Causes of Carryover |
COVID-19によりイギリスDurham Universityでの客員教授受け入れプログラムがすべて停止され、2020年度に予定していたフィールド調査が行えず予定していた旅費を使用しなかったが、2021年度に延期したため。
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